日本史

お雇い外国人ダラス・リング傷害事件と米沢牛について

米沢牛を世に広めたダラスの食生活 お雇い外国人の業績表1 お雇い外国人の業績表2 【はじめに】 欧米の圧力に危機感を抱いた開国間もない明治政府にとって近代化は国運をかけた重要課題でありました。 欧米の進んだ文化や科学技術を取り入れるため、明治政…

令和元年11月の絵「源平合戦の頃現れた浄土教と地蔵十王信仰」

地蔵十王信仰 奈良時代の中頃(729~749年)、六道(参考1)に落ちた衆生(一般大衆)を教化・救済するとして地蔵信仰が伝わり、その後、地蔵・閻魔一体説(768年日本霊異記)が現れ、平安時代初め頃(794年前後)に地蔵信仰は迷界と結びつけられ、地蔵菩薩…

キトラ古墳の四神の壁画と高御座(たかみくら)台座の麒麟の絵の関係

平成31年3月の絵 令和元年10月22日、徳仁(なるひと)天皇陛下の即位を内外に宣明する「即位礼正殿の儀」が皇居宮殿で行われました。参列された世界180カ国の高官と日本国民により祝福されました。 天皇陛下が高御座(たかみくら)にお立ちになり…

令和元年9月の絵 「風神・雷神 像」と「風神・雷神 図屏風」

彫刻 風神・雷神像 ・作者不明 (鎌倉時代) 京都妙法院三十三間堂 屏風絵 風神・雷神図屏風(びょうぶ) ・俵屋宗達(江戸時代初期17世紀前半)京都建仁寺が所蔵 ・尾形光琳(江戸時代前期18世紀初)東京国立博物館所蔵 ・酒井抱一(江戸時代後期182…

7月の絵「大威徳明王坐像と大日如来坐像」

日本彫刻発展の基礎を築いた仏師「運慶一族」 【大威徳明王坐像】 1998年(平成10年)横浜市の称名寺の光明院で高さ21.1cm木造の「仏像大威徳明王坐像」(だいいとくみょうおうざぞう)が発見されました。 2007年、中世歴史博物館「神奈川県…

元号が一時断絶した原因を探ってみる

2019年5月1日徳仁(なるひと)皇太子が第126代天皇に即位され、元号が令和となり、新しい時代が始まりました。初代天皇は縄文時代末期の紀元前660年に即位した神武天皇であると日本書紀に記されており、それから2019年までの2679年間で…

中国殷暦から遅れること3000年、ようやくできた江戸大和暦

古代の人々は生活をしていくうちに、お日様(太陽)が顔を出し、明るくなると狩猟など活動し、太陽が沈み暗くなり、そしてまた太陽が顔を出し、繰り返されることを知り、この1循環を1日する「日」という単位を作りました。そして、土地に定住し農耕を営み、…

2019年4月30日を以て平成時代は幕を閉じ、5月1日より令和時代へ

平成31年(2019年)4月1日11時40分過ぎ、新元号は「令和(れいわ)」と発表されました。 2019年4月30日に明仁天皇陛下は徳仁(なるひと)皇太子殿下へ譲位します。この時点で31年間続いた平成時代は幕を閉じることになります。 2019年5月1日に徳仁(なるひと…

小説「ドクトル・ジバゴ」の背景と内容の超概略

ソ連政府の禁止令を逃れ、1957年、国外出版された小説「ドクトル・ジバゴ」はロシア革命を真実に近い形で知ることができると世界から高い評価を受けました。 ソビエト政権は政権確立後、共産主義国家として厳しい情報統制を敷いたため、当時の世界の人々…

12月の絵「平家物語 建礼門院の死去、六代の斬られ、それよりしてこそ、平家の子孫はながくたえにけれ」

yaseta.hateblo.jp 1185年3月24日壇ノ浦の合戦で平氏は敗れ、多くの平家一門は入水し、最後を遂げる。入水したものの引き上げられた建礼門院、生き残った宗盛と清宗父子、平時忠・時実(ときざね)父子および女房・僧侶など多くの非戦闘員は捕らわれの身とな…

11月の絵「平家物語 壇ノ浦合戦で平氏壊滅」

yaseta.hateblo.jp 1185年(元歴2年、文治元年)2月21日の屋島の合戦で敗れた平宗盛を総大将とする平氏本軍は平知盛(とももり)の陣がある長門の国の彦島(関門海峡)に退却した。 平氏は瀬戸内海各地の水軍を持ち、淡路・讃岐から長門・北九州までの制海権…

10月の絵「平家物語 屋島の合戦と那須与一の扇の的」

yaseta.hateblo.jp 1184年(寿永3年、元歴元年)2月7日の一の谷の合戦で大敗北に帰した平氏は舟で屋島に落ち延びたが水軍を持たない源氏は追撃することができなかった。 そこで、頼朝は都周辺、山陽・九州の掃討に努め陸地の勢力確保を図るため、平氏の支配…

9月の絵「平家物語 義経軍による鵯越(ひよどりごえ)坂落としの奇襲」

yaseta.hateblo.jp 平氏が都落ちした1183年(寿永2年)7月25日の3日後の7月28日、木曽義仲と源行家は南北二手に分かれて京都に入った。 比叡山から御所に戻った後白河法皇は平氏に安徳天皇と三種の神器を返すよう求めたが拒否されたため8月20日、安徳天皇の…

8月の絵「平家物語 京に攻め上る木曽義仲と平家一門の都落ち」

yaseta.hateblo.jp 1181年閏2月4日の清盛亡き後、嫡男の宗盛は平氏のリーダーになったものの、後白河法皇を制しながら源氏に対抗するという難題を解決し、平家一門だけでなく政治の安定化を図っていくというリーダーとしての素養に欠けていた。宗盛は策略家…

7月の絵「平家物語 海外貿易と平家安定の夢半ばで逝った平清盛」

yaseta.hateblo.jp 1181年、年明けて早々、鎮西(九州)の有力武士が叛乱を起こし、伊予、阿波などで源氏に呼応した武士が蜂起、紀伊熊野では平氏の発祥の地、伊勢に乱入事件があり、各地で内乱が起こりました。 平氏はこれに対し、正月16日、畿内(都の領域…

6月の絵「平家物語 福原から京への都帰りと奈良炎上」

yaseta.hateblo.jp yaseta.hateblo.jp 1180年2月の安徳天皇即位とともに平家の栄華がさらに続くかと思われたがこの時点を境に平家は急速に衰退に転じていきます。 1180年4月28日、源頼政が「平家打倒すべし」の以仁王(もちひとおう)令旨を諸国の源氏に伝え…

5月の絵「平家物語 平清盛のクーデターと以仁王(もちひとおう)の謀反」

yaseta.hateblo.jp 鹿ヶ谷事件の翌年の1178年(治承2年)平清盛の娘で高倉天皇の中宮「徳子(とくし)」が懐妊し、11月に言仁親王(ときひと、後の安徳天皇)が誕生しました。 平家にとってさらなる栄華が期待され喜びに沸きかえっていました。しかしながら…

4月の絵「平家物語 平家の横暴と鹿ヶ谷事件)」

yaseta.hateblo.jp 平清盛は保元・平治の乱の経て次々と官職昇進をなし、1167年、清盛は従一位・太政大臣になり、やがて息子の重盛は左大将、宗盛は右大将になります。そして平家一門40人以上が公卿・殿上人になり、高位高官を独占、清盛の娘たちも高倉天皇…

3月の絵「平家物語 公家社会の終焉と武家社会のはじまり~平治の乱~」)

yaseta.hateblo.jp 1156年の保元の乱で後白河天皇方につき実権を握った信西は戦後処理で全230巻におよぶ「法曹類林」という法律書を整備編集した実績を背景にして、崇徳上皇(後白河天皇の兄)の遠流し、過去200年間行われなかった死刑を復活させ、源為義(…

2月の絵「平家物語 保元の乱で歴史の表舞台に躍り出た平清盛と源義朝」

yaseta.hateblo.jp 平家物語(*1)ではこれまで藤原一門が支配していた政治権力を平家一門が占めることになったいきさつについて、最初の2つの項で一之巻の「殿上の闇討」と「鱸(すずき)」で簡単に述べているだけでした。 まず、平清盛や源義朝が歴史の…

1月の絵「平家物語 平清盛吾身の栄華」

2010年のマンガ絵12ヵ月シリーズは「平家物語」を題材にして絵を描こうと思います。 平家物語と言えば、「祇園精舎の鐘の声・・・・・」で始まる文章はあまりにも有名です。(この文章の終わりに平家物語「祇園精舎」の冒頭部分の現代語訳を載せました。) この文…

キトラ古墳壁画の四神「白虎・玄武・青龍・朱雀」のデフォルメ画

2009年5月9日の読売新聞にキトラ古墳壁画の青龍の復元図が載っていました。私はこの絵を気に入ってしまい、残りの白虎・朱雀・玄武を含めた四神を描こうと思いました。 奈良県文化財研究所の飛鳥資料館特別展示室のHPに入り、他の三つの獣神の復元図を探し…

3月の模写絵「広重の東海道五十三次之内箱根」

3月は東海道五十三次のなかで最大の難所の箱根です。明治になって、箱根峠は「箱根八里」に歌われたように紀元前200年頃、劉邦が守備した要害の関所「函谷関」にも勝るとも劣らない「天下の険」と言われました。 広重の版画と広重が参考にした(模倣した…

平家物語「木曾義仲の首の市中引回しと直江兼続の先祖樋口次郎兼光の斬首」

木曾義仲(木曽義仲)の四天王の一人、樋口次郎兼光(ひぐちのじろうかねみつ)は、2009年1月から始まったNHK大河ドラマ「天地人」の主人公直江兼続の先祖です。 樋口次郎兼光 → 光信 → 兼明 → 兼基 → (9代略) → 兼定 → 兼村 → → 樋口惣右衛門兼…

2月の模写絵「広重の東海道五十三次之内戸塚」

2月は東海道五十三次の戸塚宿です。現在の横浜市戸塚区で日本橋から約42km(約10里半、徒歩約10時間半)の道のりです。 絵の中の店の看板に「こめや」と書いていますが米屋ではなく茶店だと思います。 日本橋(1月の絵)yaseta.hateblo.jp

平家物語巻第九の「朝日将軍木曾義仲の無念の最期」

昨年5月、源範頼(のりより)と源義経(よしつね)の東国の軍勢と木曾義仲軍(木曽義仲)の戦いの初めの部分「宇治川の先陣争い」についてブログに描きました。 宇治川の先陣争いyaseta.hateblo.jp それ以来、1年近いブランクがありますが、今回は、この戦…

1月の模写絵「広重の東海道五十三次之内日本橋」

明けまして おめでとう ございます。 今年もよろしくお願いします。 今年は葛飾北斎や喜多川歌麿とならぶ浮世絵師の一人歌川広重(または安藤広重)の絵の中から毎月1枚選び模写しようと思います。 1月は東海道五十三次の出発点の日本橋を描いた絵を模写し…

米沢を整備し城下町の基礎を作った「直江兼続」

6月21日、米坂線小国町の実家で兄嫁の一周忌の法要が営われることになり、19日に野田市から大宮に出て、山形新幹線に乗り、乗り換え駅の米沢に降りました。米沢駅は直江兼続を題材にした来年のNHK大河ドラマ「天地人」や上杉鷹山のポスターが貼られ…

「いけずき(池月、生食)」の佐々木高綱と「する墨(磨墨)」の梶原景季による宇治川の先陣争い

平家物語は子供の頃、絵本やマンガを見たり、その後は映画やテレビ見たり、小説などを読んだりましたが、これまで、ほとんど関心をもつことはありませんでした。 しかし、3年間で6人の身内の死に会い、平家物語の冒頭のくだり「祇園精舎の鐘の声---------…

ノブレス・オブリージュ(高き身分の者に伴う義務)について

4月22日読売新聞は野村証券の中国人社員「厲瑜(れいゆ)」(37歳)が他社の中国人友人2人にM&A(企業の合併・買収)情報を公表前に流し、約5000万円の不正な利益を得ていたインサイダー取引容疑で逮捕されたと報じました。 市場の公正さを守る…