7月の絵「大威徳明王坐像と大日如来坐像」

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日本彫刻発展の基礎を築いた仏師「運慶一族」

大威徳明王坐像】

1998年(平成10年)横浜市称名寺の光明院で高さ21.1cm木造の「仏像大威徳明王坐像」(だいいとくみょうおうざぞう)が発見されました。

2007年、中世歴史博物館「神奈川県立 金沢文庫」が腕や腰下部分が破損していた大威徳明王坐像を解体し、修理していたところ、胴体の中にはめ込まれていた文書を発見しました。

文書を解読した結果、この仏像は、鎌倉幕府源頼家(みなもとのよりいえ)、実朝(さねとも)両将軍に養育係として仕えていた「源氏大弐殿」(げんじだいにどの)が1216年(建保4年)11月23日に発注し、運慶によって作られたことが明記されていました。

 

大日如来像】
2008年3月運慶作の高さ66.1cmヒノキ造の「大日如来坐像」がニューヨークのクリスティーズでオークションにかけられ、三越百貨店に1,280万ドル(12億5000万円)で日本の美術品としては過去最高額で落札されました。


三越は国内の顧客から頼まれ、落札したが顧客は誰なのか顧客の意向で公表しませんでしたが、その後、この運慶作「大日如来坐像」を落札した話題の主は本部を立川市に置く宗教法人「真如苑(しんにょえん)」であることがわかりました。真如苑は将来、立川市の土地に施設を造り安置し一般に公開すると言っているそうです。


重要文化財に指定されてなく、個人が所有しており、国外で販売することができるため、海外に流出する可能性が高いとして、この仏像があった樺崎寺の栃木県足利市では流出回避策を求める文科相あての署名運動も起きていましたが今回の落札で海外流出は免れました。
運慶・快慶の東大寺南大門の金剛力士

yaseta.hateblo.jp

 

【参考】
(1)「横浜市称名寺の仏像は運慶の真作と判明」記事、読売新聞、2007年3月20日
(2)「運慶の仏像に12億円」記事、テレビ東京、2008年3月19日
(3)「運慶の仏像に12億円超=三越が落札、海外流出回避」記事、NY 時事通信、2008年3月18日
(4)「国外流出防げ 運慶仏像」記事、読売新聞、2008年3月1日