2021年のノーベル医学・生理学賞は2人のmRNAワクチン開発者?

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RNAワクチンの作成と働き

ビオンティック(独)/ファイザー(米)とモデルナ(米)/NIAIDの2つ企業グループはそれぞれ2020年12月にmRNAワクチンの開発・実用化に成功しました。(NIAID : 米国立アレルギー・感染症研究所)

 

そして、2020年4月27日の私のブログにmRNAワクチンの基本技術を開発したのはそれぞれ、ビオンティック(独)と新モデルナ(米)のベンチャー企業であると記述しました。

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しかし、本当の立役者は2005年にmRNAワクチン開発の基となる論文を発表したビオンティックの上級副社長 のカタリン・カリコと免疫学者のドリュー・ワイスマンでした。

 

そして、当時、注目されなかったこの論文の先見性を評価し、支援したのがモデルナとビオンティックとファイザーだったのです。

 

RNAワクチンの接種が開始された2020年12月頃から2021年のノーベル医学・生理学賞の第一候補者としてmRNAワクチンの開発者のカタリン・カリコ、ビオンティック上級副社長(Katalin Kariko、ペンシルベニア大学非常勤準教授) とドリュー・ワイスマン、ペンシルベニア大学教授(Drew Weissman)の2人が話題になっています。

 

カタリン・カリコ氏は1985年、テンプル大学研究員の職を得て、ハンガリーから夫と2歳の娘と共にアメリカに渡り、その後ペンシルベニア大学に移りました。

 

カタリン・カリコ氏は2013年にトルコ移民2世のウグル・サヒンCEOとオズレム・トゥレシ最高医療責任者夫妻と共にドイツのマインツに製薬会社を立ち上げ、研究者兼上級副社長に就任、mRNAワクチンの基本技術を開発し、ファイザーとともに実用化を果たしたのです。

 

【m RNAワクチンの作成と働き】

新型コロナウイルスはCOVID-19のスパイクタンパク質がヒト細胞膜の受容体に付着してヒト細胞内に侵入し、感染します。

 

そこで、COVID -19の毒素を持たぬスパイクタンパク質だけの細胞を体内でつくらせ感染したかのように装い、抗体が働くように仕向けたのがmRNAワクチンです。

 

スパイクタンパク質(細胞)を作るため、COVID-19のRNA(遺伝子)のスパイクタンパク質設計と作成指示の情報部分(設計図)のコピー(mRNA)をつくります。この過程を転写(Transcription)といいます。

 

mRNA (設計図)は非常にこわれやすいため細胞膜に似た保護脂質シェルに入れ、ワクチンをつくります。

 

ワクチンを接種するとワクチン中の細胞はヒト細胞と融合しスパイクタンパク質設計図(mRNA)を放出します。

 

このmRNAは細胞の中でタンパク質が作られる場所(リボソーム)に進みます。

 

細胞中のリボソームはmRNAの設計図を読んでそれに従ってアミノ酸の鎖を編みタンパク質を作ります。

この過程を翻訳(Translation)といいます。

 

このタンパク質が細胞から漏出しスパイクたんぱく質の細胞を形成します。

 

mRNAは体内で分解されワクチン接種を受けた人の遺伝子には組み込まれません。

 

免疫系はこのスパイクタンパク質をCOVID-19に感染したと勘違いして抗体を生成し、撃退します。

 

抗体は真の敵COVID-19の侵入に備えてこの反応を記憶(免疫形成)します。

(抗体:感染症を撃退し免疫をもたらす助けとなるタンパク質)

この記憶があるためCOVID-19に感染すると免疫が働き、抗体が撃退します。

 

【蛇足】

本日、2021年5月6日(木)8時30分から野田市で65歳以上の新型コロナウイルスワクチン接種の予約受付が始まりました。

インターネットで申し込み、妻は6月10日 に予約しました。

私は病院を間違えて予約済みをいったん削除し、新規予約しようとしましたが、7月下旬まで予約済みが続き、ようやく7月27日接種で予約できました。

予約操作時に表示されたワクチンはファイザー社のmRNAワクチンでした。

【参考】

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1.「新型コロナウイルスの画期的なワクチン、9割以上に効果」、BBC NEWS Japan、2020.11.9

2.「特集mRNA医薬が未来を変える」、ナノキャリア株式会社資料

2.「彼女こそ、ワクチン開発の「陰のヒロイン」だ」、岡 ゆづは、NewsPicks編集部 記者、Newspicks.com/new、https://newspicks.com/news/5444075/body/

2020.12.11

3.「化学業界の話題~今年のノーベル医学・生理学賞は確定?~」、

http://blog.knak.jp/2021/02/-mrna.html、2021.2.3

4.「ウイルスの構造とその意味」、京都大学ウイルス・再生医科学研究所教授、朝長啓造、日経メディカル、2020.3.30

5.「COVID-19 mRNAワクチンが働くしくみ」、https://www.snohd.org/ImageRepository/Document?documentId=6074

2020.3.30

驚異のスピードで開発した新型コロナウイルスの画期的なワクチン~ mRNAワクチン ~

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RNAワクチン開発工程図

2020年1月に中国武漢で発生し、世界に大打撃を与えている新型コロナウイルスパンデミックは、2021年4月現在、ワクチン接種が進んだアメリカ・イギリスでは抑制されつつある中、接種が進んでない日本は感染拡大が続いており、2021年4月23日には東京に3回目となる緊急事態宣言が発出されました。

 

日本の最高レベルの研究機関や企業の医療研究者は昨年の早い段階で新型コロナウイルスワクチン開発に乗り出しましたが、医療関係者やコメンテーターはこれまでの常識から使用できるまで少なくとも数年かかり、今回のパンデミックには間に合わないだろうと言っていました。

 

しかし、開発開始から1年も満たない、昨年(2020年)11月9日、アメリカ製薬会社ファイザーとドイツのビオンテック(BioNTech)が共同開発中の新型コロナウイルスワクチンは臨床試験第3フェーズが終了に入り、11月末の緊急使用許可を求め、政府当局に申請するとBBC NEWS Japanは報道しました。

 

ファイザーアルバート・ブーラ会長はこのmRNAワクチンはこれまでに6ヵ国4万3,500人を対象に臨床試験が行われてきたが、有効性は90%以上であることが確認でき、また、安全上の懸念は出ていないとして「世界中の人が待ち望んだ新薬を提供し、この世界的な健康危機を終わらせる大きな一歩だ」と述べました。

 

その頃、アメリカは1日感染者数4万人~5万人と増加を続けており、日本も増加してはいましたが1000人と欧米に比べ低く、日本はワクチンなくとも抑制できると、ワクチンについて全く知識のない私は思い込んでいました。

 

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しかし、その後、一向に衰える気配を見せず感染増大を続けており、新型コロナウイルスの恐ろしさを実感して、ワクチンの必要を認識しました。素人の考え「休むに似たり」でした。

 

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日本政府はその5ヵ月前の2020年年7月にワクチンの確保に動きだし、ファイザー社ワクチンの購入契約を結びました。しかし、既にファイザー社は臨床試験の最終段階である6ヵ国4万3,500人に対する第3フェーズを6月から開始しており、日本は参加することはできなかったと思われます。

 

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ファイザー社のワクチンは11月末に承認され、イギリスでは12月2日、アメリカでは12月11日、EUでは12月21日から接種が開始されました。

 

日本がファイザー社ワクチンの提供を受け、臨床試験第3フェーズを開始したのは3か月遅れの2020年10月で、第3フェーズの治験が終わり、承認されたのは2021年2月14日、接種が開始したのは2月17日でした。

 

ファイザー社とドイツのビオンティック社が開発し、続いてモデルナ社が開発したmRNAワクチンは全く新しい技術で作られた医薬品として注目を集めました。

 

この最先端の新技術はウイルスの遺伝子の中から「ウイルスに対し抗体を誘発するタンパク質を合成」する遺伝子「mRNA」を解読し、それをコピー(転写)してワクチンを作りだす方法を実用化したものです。

 

新型コロナウイルスの遺伝子を解読したのが2020年1月10日で、ファイザーは安全性未承認のまま1月14日にワクチン製造を開始しました。

 

そして、臨床試験第1フェーズは2ヵ月後の3月に開始、その後、第1フェーズと並行して第2フェーズを開始・進行、半年後の6月にはフェーズ3が開始され、10ヵ月後の11月には90%以上の有効性を確認し、安全性についても大きな副作用がないことを確認しました。

 

そして、2020年11月末には異例の措置として緊急使用が承認されました。

 

何よりも医療関係者が驚いたのは開発のスピードです。アメリカの巨額の投資だけではなかったのです。

 

RNAは遺伝子の一部分(サブ設計図)をコピーして作るのでウイルスを不活化、または弱毒化したワクチンなどのウイルス本体を使うワクチンより不純物が少ないようですが、それにしても、まだ臨床試験さえ始まっていなく、有効性も安全性も分からない時点でワクチン生産を始め、12月に接種開始まで数億個の数のワクチンを生産したのです。

 

RNAワクチンは基本技術を持つベンシャー企業ビオンティックが大企業ファイザーに提携を持ち掛け共同開発したものでした。ほぼ同時にこのワクチンを開発したアメリカのモデルナもベンチャー企業でした

 

注目すべきビオンティックはトルコ移民2世の夫婦(夫CEOと妻医療責任者)が経営するベンチャー企業であります。

 

このように、思想が束縛されない自由な土壌に新発想を具体化するベンチャー企業が次々と生まれ、新技術をすかさず受け入れ実用化・大量生産を図る大企業が次々うまれるのは民主主義国だから可能であり、宗教・思想に制限・束縛されるイスラム系諸国の土壌や思想・情報に透明性がなくプーチン大統領習近平国家主席の一言で物事が決まる国の土壌では新発想に基づく画期的技術や製品は生まれにくいと思いました。

「民主主義国はデメリット部分もある」 

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【参考】

1.「新型コロナウイルスの画期的なワクチン、9割以上に効果」、BBC NEWS Japan、2020.11.9

2.「特集mRNA医薬が未来を変える」、ナノキャリア株式会社資料

3.「ワクチン開発、新技術で加速 モデルナも高い有効性」、日本経済新聞、2020.11.18

 

2021年4月15日現在の世界のコロナ感染とワクチン接種状況

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各国新型コロナウイルスワクチン接種状況(2021.4.15)

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米国インド1日感染者数グラフ(2021.4.15)

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英仏独1日コロナ感染者数グラフ(2021.4.15)

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日本スイス1日感染者数グラフ(2021.4.15)

【世界193ヵ国の累計感染状況(2020~2021)】

 日付   累計感染者  累計死亡者

10月30日  4,549万人 119万人人

12月 1日  6318万人 147万人

1月 6日  8,640万人 189万人

2月 3日 10,386万人 225万人

3月 1日 11,407万人 253万人

4月 1日 12,882万人 282万人

4月15日 13,826万人 297万人

 【世界の月毎の1日感染者数と1日死亡者数(2020~2021)】

半月毎の1日感染者  1日死亡者(平均)

11月前半 51万人   7千5百人

11月後半 58万人   9千8百人

12月前半 69万人   1万9百人

12月後半 62万人 1万1千3百人

1月前半 74万人 1万3千9百人

1月後半 57万人 1万3千6百人

2月前半 40万人 1万1千8百人

 

世界の新型コロナウイルスの感染は1月後半から2月後半までゆるやかなに減少してきましたが、2月ごろイギリスで従来型の1.6倍の感染力を持つ変異ウイルスが発見され、感染者が徐々に増加していきました。

2月後半にかけてEU、アメリカに感染が広がり、3月には日本でもイギリス型の変異ウイルスが見つかり、感染が増加してきました。

 

世界の平均1日感染者数は2月後半の38万人を底に、再び増加してきました。

半月毎の1日感染者  1日死亡者(平均)

2月後半 38万人   9千3百人

平均1日死亡者も3月前半の8千8百人を底に増加してきました。

半月毎の1日感染者  1日死亡者(平均)

3月前半 41万人   8千8百人

3月後半 53万人   9千5百人

4月前半 67万人 1万1千2百人

そして4月15日(木)単日の1日感染者は81万6千人、1日死亡者は1万3千5百人と増加が続いている状況です。

 

感染増加止まり、減少傾向にあるとしながらもアメリカは4月に入っても5万~7万人、イギリスは2千5百~3千人の1日感染者を出し続けています。

しかし、ワクチンを1回以上接種した人は4月15日時点でイギリスが61.3%、アメリカは59.3%と人口の半分を越え、安全圏に入ったとして4月2日頃から飲食店など非製造業の規制が解かれ営業活動が再開されています。

 

EU諸国は接種率が現在25%なので、2~3か月先には規制が解かれ、経済は回り出すと思われます。

 

一方、日本はワクチン接種率1.5%と低く、そこに感染力の高い変異ウイルスによる感染が拡大しており、営業活動緩和どころか現在適用されているまん延防止等重点措置よりさらに厳しい緊急事態宣言を再び発出せざる得ない状況に来ています。

 

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米国インド累積感染者数グラフ(2021.4.15)

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米国インド1日死亡者数グラフ(2021.4.15)

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英仏独1日コロナ死亡者数グラフ(2021.4.15)

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日本スイス1日死亡者数グラフ(2021.4.15)

【参考】

(1)「新型コロナウイルス 世界のワクチン接種状況は」、BBC.NEWS.Japan、2021.4.15

(2)「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和3年4月15日版)」、厚生労働省HP、2021.4.15

 

2021年3月後半から従来型の1.6倍感染力を持つ変異ウイルスの第4波が襲来

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国内東京大阪コロナ1日感染者数の7日移動平均

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日本東京コロナ1日感染者数と7日移動平均

2021年が始まっても新型コロナウイルスの感染増加は衰えず、1月初旬に2回目の緊急事態宣言が発出され、2月前半まで順調に減少していきました。

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そして、2月後半、国内1日感染者約1000人、東京約300人まで減少してきました。

東京は約300人の高止まりのまま、推移していましたが、関西3府県や愛知、福岡などは数十名まで減少し、緊急事態宣言解除を国に要請していたので5月後半の収束を期待しました。

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しかし、3月に入ると感染状況が一転しました。従来のコロナウイルスの1.6倍の感染力を持つイギリス型の変異ウイルスによる感染者が東京より大阪や宮城など地方で多く見つかり、国内1日感染者は2月後半の約1000人から4月前半には3000人と1ヵ月あまりで3倍に急増してきました。

 

この間、東京は3月21日に緊急事態宣言を解除しましたが感染は減少せず増加に向かい始めました。また、東京より一足早く3月7日に緊急事態宣言を解除した大阪は新たな敵である変異ウイルスの襲来により感染が急増してきたのです。

 

(これまで日本全体の感染動向は東京が代表していましたが、東京より、大阪、仙台など地方の増加割合が大きくなり、国内と東京の感染者数は相関しなくなり、大阪と相関するようになりました。)

 

そして、新たに作られた「まん延防止等重点措置」が4月5日~5月5日、大阪、兵庫、宮城に適用され、続いて、4月12日~5月11日、東京、京都、沖縄にも適用され、3度目の自粛を要請されました。

 

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緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の比較表

2月17日から始まったワクチン接種は4月初めで医療関係者など約100万人(1.26%人口1億2千6百万人)が済み、4月12日から65歳以上の高齢者に接種が始まりましたが、接種率は先進国の中で最下位です。

 

接種率はアメリカ54.9%(3億2千8百万人)、イギリス59.3%(6千7百万人)、中国11.4%(13億9千万人)です。

 

アメリカやイギリスは安全圏に入ったとして4月上旬から飲食店など非製造業の規制が解かれ営業活動が再開されています。

 

4月13日の国内の1日感染者数は3,457人、東京は510人、大阪はこれまで最高の1,099人と増加しています。日本はワクチンが半分以上行きわたる秋以降まで我慢の日が続きそうます。

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日本東京コロナ累積感染者数

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日本東京コロナ1日死亡者数

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日本東京コロナ累積死亡者数

【参考】

(1)「新型コロナウイルス 世界のワクチン接種状況は」、BBC.NEWS.Japan、2021.4.12

(2)「読売新聞」、2020.1.29~2021.4.14

季節が変化する説明図の作成について

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季節変化の説明図

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気象天文観測旧暦による季節

太陽が出て朝になり、沈んで夜になり、また朝を迎え次の1日が始まります。この1日を積み重ね、寒い日が続いたと思うと暑い日が続くなど自然が変化し、「春夏秋冬」の季節の1年が繰り返されます。

 

このように地球に昼と夜が来る1日があり、季節が変り一巡する1年があるのは、地球が地軸(自転軸)を約23.4°傾けて1日1回自転し、同時に太陽の周りの軌道(公道)を1年かけて回って(公転)いるからということは誰でも知っています。

 

なぜ地球が傾いて自転・公転すると季節が変化するのか、つきつめて考えると私はまったくわかっていませんでした。

また、同じ季節でも旧暦の季節の春は立春の2月3日頃から始まり、天文学的季節の春は春分の3月20日頃から始まり、気象学的季節の春は啓蟄の3月5日頃から始まります。

また、生活場所(観測地点)が北半球か南半球化かそして緯度によっても異なります。

 

季節が変化する原因の説明図を作ろうとしましたが理解するのに時間がかかり、2021年3月20日の春分には間に合わず、4月に入ってようやくできましたのでブログ載せたいと思います。

 

地球の地軸が傾いていると季節変化の説明が難しいので、前提条件を設定しました。

 

【季節変化説明のための前提条件】

(1)地球は太陽の周りの公道を地軸23.5°傾いた状態で公転していますが太陽の中心から地球の中心の公道までの距離を半径とし、水平の公道面を入れた球体(天球)を作図します。

 

(2)公道面に対し、太陽の中心から垂直に直線を延長すると天球に交わる点が天の北極および天の南極となります。黄道(見かけ上の太陽の軌道)は天の公道でもある。(黄道は天の公道とする)

 

(3)太陽の周りを公転する地球の1年(黄経360°)を旧暦の季節二十四節気に合わせ、24等分し、地球が黄経15°移動すると1節気進むとする。

 (二十四節気は旧暦(太陰太陽暦)の元の太陰暦の日数(季節)のずれを補うため太陽の1年(太陽暦)から作られ、採用されたものです。)

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(4)地球が春分点に達した瞬間を黄経0°とし、春分(第四節気)から春が始まります。黄経90度の第十節気の「夏至」(夏至点)、黄経180度の第十六節気の「秋分」(秋分点)、黄経270度の第二十二節気の「冬至」(冬至点)と天文学的季節は二至二分から始まります。

 

(5)説明しやすいように天球の中心に水平になっている公道面を反時計回りに23.5°回転し、地軸(自転軸)を垂直します。 すると天球の中心水平面は地球の赤道の延長となる天の赤道面になります。

 

(6)公道面と天の赤道面との傾斜角である公道傾斜角は黄道傾斜角と赤道傾斜角と地軸傾斜角と等しく23.4°となります。

 

【南中高度の計算条件】

(1)地球の観測地点は日本の中央(日本経緯度原点)である東経139°、北緯35°とします。

 

(2)正午に太陽は南の空に最も高く登る二至二分のときの地面と太陽との角度「南中高度」を求めます。

 

以上の条件より「季節変化の説明図」を作成するとなぜ季節が変化するのかわかります。

 

地球が春分点(黄経0°)に来ると地球の公道面と太陽の赤道面が交差し、地軸が垂直のまま太陽と水平になるため、観測者①の目線でみると北緯35°地点での春分の南中高度(図①)は55°となり、昼と夜が同じ長さになることがわかります。地軸は垂直になっていますが本来の地球(公道面を水平にする)に戻しても地軸は垂直のまま(図A)かわりません。秋分点(黄経180°)も同様です。

 

夏至点(黄経90°)に地球が来る北極側は太陽に向き、夏が始まります。

観測者②の目線で見ると北緯35の地点の南中高度(図②)は78.4°となり、昼は最も長くなります。

説明図の公転面を反時計回りに23.4°回転していますので時計回り23.4°戻し、地軸が23.3°傾いた本来の地球の姿に戻した夏至の南中高度は図Bになります。

 

冬至点(黄経270°)の北緯35°地点は南極側が太陽に向き、冬が始まります。

観測者④の目線で見ると北緯35の地点の南中高度(図④)は31.6°となり昼は最も短くなります。本来の地球の姿に戻した冬至の南中高度は図Dになります。

 

夏至は北緯が高くなるほど昼が長くなり、北極付近では一日中太陽が沈まず白夜となり、南極付近では一日中太陽が昇らず極夜となります。

 

冬至は南緯が高くなるほど昼が長くなり、南極付近では一日中太陽が沈まず白夜となり、北極付近では一日中太陽が昇らなず極夜となります。北半球では冬、南半球では夏となります。

 

【参考】

1.「暦要項など」、国立天文台のホームページ

2.「天球、黄道傾斜角など」、フリー百科事典「ウィキペディアWikipedia)」

 

3.日本の標準時(中央標準時)の基準は明石にあり、東経135°の子午線(経度の線)です。

4.日本の経緯度原点(日本の中央)は元東京天文台跡地の港区麻布台で東経139°、北緯35°です。

新型コロナウイルスワクチンの開発遅れについて

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海外ワクチンの確保と接種

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国産ワクチンの開発状況

【感染者・死者高止まりのままの日本】

国内・東京のコロナ感染数は2021年(令和3年) 1月下旬から減少に転じましたが、2月21日から減少が止まり、特に改善の兆しが見られない首都圏1都3県のみ緊急事態宣言解除(3月7日)を2週間 (3月21日)延長することになりました。しかし、3月13日になっても、感染者数:国内約1,000人、東京約300人の高止まりの状態が続いており、5月の東京1日感染者50人以下は難しくなってきました。

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【感染者・死者世界一の汚名挽回を図るアメリカ】

アメリカは3月9日までで感染者2,900万人、死亡者52万6千人と世界最多で、この1年屈辱に耐えてきました。(参考1)

しかし、底力あるアメリカは違っていました。いち早く、最先端技術を使った「mRNA」ワクチンを開発してしまい、2020年12月11日から接種を開始し、巻き返しをはかっています。

 

そして、2021年3月9日で国民の約3分の1に当たる9,820万人の市民が接種を済ませ、世界1位のワクチン接種国になりました。(2位は中国の5,270万人、3位はインド2,620万人)

 

ワクチンの効果が現れたのか1月前半の半月平均1日感染者23万人をピークに感染が減少に転じ、2月前半の半月平均11万人そして3月の前半9日間平均は5万4千人、そして3月9日単日の1日感染者は4万5千人まで減少しています。

 

感染者が日本の45倍も高いのに3月8日には米疾病対策センター(CDC)は接種を完全に済ませた市民は、マスクなしの通常生活に戻れる場合もあるという、新たなガイドラインまでも発表しています。

 

2021年2月27日、米食品医薬品局(FDA)は2020年12月14日に最先端技術を使って開発したmRNAワクチン接種を開始したファイザー、12月21日に同じくmRNAワクチン接種を開始したモデルナに続き、3つ目となる従来型のウイルスベクターワクチンを開発したジョンソン・エンド・ジョンソンに対し、使用を承認しました。

 

アメリカはなぜこんなに速く、従来型や最新技術を使ったワクチンを開発・実用化できのだろう思っていましたが、1999年世界ではじめてインフルエンザウイルスの人工合成に成功し、2003年にインフルエンザ生ワクチンを開発した東京大学医科学研究所河岡義裕教授がNHKのテレビ番組で話したことを聞きわかりました。(参考3)

 

2001年9月アメリカで起きた炭疽菌事件をきっかけにアメリカ政府はテロ対策として巨額の予算投入し、大学、研究機関、企業を支援した結果、スピード開発につながったということでした。

 

【国産ワクチンの開発が遅れた背景】

一方、日本では過去に幾度も副反応による障害とそれに対する訴訟が起こり、ワクチン接種に対する国民の不信感が国や研究者や開発者の意欲を低下させているという背景がありました。

 

1970年代の天然痘ワクチン接種により、何人かの子供に脳炎が発症し、重度の障害を起こし、訴訟になり、国の責任が問われました。

 

1989年のMMRワクチン(はしか、おたふく風邪、風疹の3種類)予防接種を受けた子供に高熱を伴う無菌性髄膜炎が多発し、1993年に予防接種を中止追い込まれ、国民にワクチン接種に対して不信感が高まりました。

 

1994年政府は予防接種法を改正し、接種を国民の義務から努力義務に変更したことで予防接種は国主導から個人の判断にゆだねることになりました。

 

その結果、国はワクチン開発に消極的になり、大学・研究機関・企業の研究・開発意欲が低下したことそして国民のワクチン不信感がワクチンの開発の遅れにつながっているそうです。(参考3、4)

 

さらに開発難しくしているのは、通常、薬品が開発過程の動物実験で効果や安全であることがわかっても人間に対して安全性が確認されるまで少なくとも数年かかる3段階の臨床試験を行う必要があります。

 

今回、パンデミックを起こしている新型コロナウイルスにたいするワクチンについて政府は海外同様、緊急使用として従来の基準を緩め承認することにしました。それでも、動物実験で効果を確かめ、3段階の臨床試験を行い、承認を得るまで1年から2年かかるといいます。

(日本の承認基準は過去の苦い経験から他国より厳しいようです。)

 

また、2002年11月~2003年7月に中国を発生源とするSARS重症急性呼吸器症候群)の感染が拡大し、中国・韓国・台湾など32カ国に8000人の感染者がでて、反省から感染症対策が進みましたが、日本はSARS感染者がほとんど報告されず、国も国民も感染症に対して軽く考えていたきらいがあり、感染症発生に対する危機感を持つことはありませんでした。

 

危機感を肌で感じたSARSの発生元の中国や炭疽菌事件を経験したアメリカは2000年前半から感染症ワクチン開発に着手していました。

 

河岡教授始め国・大学・薬品メーカーの多くの方々は新型コロナウイルス感染が増加し始めた2020年3月にはワクチン開発に乗り出していました。しかし、それでもアメリカや中国に比べ5年~10年の遅れがあるため、実用化が遅れることはしかたがないことだと思いました。

 

【海外ワクチンの確保と接種状況(表1)】

国産ワクチンは間に合わないため、政府は海外ワクチンを確保し、2月17日より接種を開始、OEM生産の準備に入っています。

 

【国産ワクチンの開発状況(表2)】

国内の大学・研究機関・企業は一刻も早い、国産ワクチンの開発・使用に向けて治験中です。

 

【参考】

NHK BS1 スペシャルで放映された東大医科学研河岡ラボの2020/3~2020/11の記録の概要をまとめてみました。

 

2020年3月、河岡教授は副反応が少なく、開発方法もわかっており、既存の設備・工場も使える従来の方法で新型コロナウイルスのワクチンを開発することにしました。

 

1.新型コロナウイルス不活化ワクチンの開発

完全に死滅させた病原体や活性を無くした毒素を皮下や筋肉内に注射して、人がそれを異物とみなして、自然免疫から獲得免疫への一連のプロセスにより抗体を産生することによって免疫をつける。

①生きた新型コロナウイルスを大量に増やす

②薬品を使い毒性を無くす(不活化)

③不活化ウイルスを取り出す

④これを何回も繰り返し治験用ウイルスを確保する

(2020年6月(3ヶ月間)不活性ワクチン原液完成)

動物実験ハムスターに抗体ができ、ワクチンの効果確認

⑥ 製薬メーカーで臨床試験準備(2020年11月)

 

2.新型コロナウイルス生ワクチンの開発

生ワクチンは弱毒生ワクチンとも呼ばれ、ウイルスなどを生かしたまま弱めておいて、それを注射することによって、軽くその感染症に罹ってもらうことにより免疫をつけるものです。

生ワクチンの開発方法としてリバース・ジェネティクス法と継代法がある。

 

(1)リバース・ジェネティクス法による新型コロナウイルス生ワクチンの開発

リバース・ジェネティクス法は河岡教授が世界で初めて開発したものです。

 

①既に入手した新型コロナウイルス

②遺伝子配列を培養細胞に入れ人工的に再現

③培養ウイルスを大量に増やす

④培養ウイルスを大腸菌の中に入れ増やす

⑤2020年11月生ワクチンの増殖に成功した

 

(2)継代法による新型コロナウイルス生ワクチンの開発

新型コロナウイルスの細胞を取り出し、数十代以上にわたり培養を繰り返す(継代)ことにより弱毒化した新型コロナウイルスを作り、大量培養しワクチンとする

①ウイルスを分離して培養細胞で継代を続ける

②継代を繰り返し、毒性の弱まったウイルスを見つける

(2020年中頃に病原性が弱いウイルスを発見した)

弱毒性ウイルスを培養し大量に作る

 

【参考資料】

(1)「新型コロナウイルス 世界のワクチン接種状況は」、BBC.NEWS.Japan、2021.3.13

(2)「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和3年3月9日版)」、厚生労働省HP、2021.3.9

(3)「国産ワクチンを開発せよ! ~東大・河岡ラボ300日~」、NHK BS1 スペシャル、2021.2.14

(4)「コロナワクチン接種~過去の副反応被害の不安~」、読売新聞、2021.2.27

(5)「ワクチン開発と見通し」、厚生労働省HP、2021.2.24

 

2021年3月3日時点の超概略予測「東京のコロナ感染者50人以下は5月後半か?」

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日本東京コロナ1日感染者数減少推定(拡大図)

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日本東京コロナ1日感染者数減少推定

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日本東京コロナ半月平均の1日感染者数表

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日本東京コロナ累積感染者数図

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日本東京コロナ1日死亡者数図

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日本東京コロナ1日死亡者数図

これまで、国内の新型コロナウイルス感染が減少に転じたある時点から収束する時期を推定してきました。

推定方法は科学的根拠は全くなく、減少に転じたある時点までの減少速度(減少傾き)の実績に予想する減少速度(減少傾き)として以前の実績の増加速度(増加傾き)を減少速度(減少傾き)を置き換え、継ぎ足し、なだらかにするなどして超概略推定してきました。当然ですがことごとく外れてしまいました。

yaseta.hateblo.jp

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現実に起こる現象に対し、期待を込めて恣意的に操作している素人予想は外れて当然ですが、今回も期待を込めて超概略推定してみました。これが最期であって欲しいです。

東京都の1日感染者が50人を切る時期は5月後半と推定しました。

 

東京都が50人以下になれば日本全体でも1日感染者は50人以下になっていると思われます。従って日本全体の推定は参考値としました。