原油価格推移グラフの作成と価格高騰の原因について

1972~2007年原油価格グラフ

1999~2007年四半期別原油価格グラフ
ニューヨーク原油先物取引市場(NYMEX)のテキサス産軽質油(WTI)の原油年平均価格は史上最高の2006年1バレル(159リットル)66.22ドルあったがいったん2007年1月に原油月平均価格が54.35ドルに下がりました。

 

しかし、この2007年1月の原油価格を最安値として上昇し始め、10月31日の96.24ドル、11月6日の96.70ドル、11月7日96.47ドルと史上最高値を記録しています。

 

この原油高でガソリンや灯油の小売価格の値上げが消費者を直撃しています。

 

原油価格は市場最高値になったと数年前からのグラフで説明されていますが、直近のデータだけではピンときません。

 

私が石油会社に入って4年目の1973年の第一次石油危機のときは2ドルだったのが10ドルまで値上がりし世界的にもパニックをおこし、1978年の第二次石油危機で日本の高度成長時代は終わりました。

 

このころの原油価格と較べてどうだったか、そしてその後原油価格はどのような推移してきたか知りたくなりました。

 

インターネットや図書館でデータを探しましたが報告書としては2005年までデータしか探せません。その後の新しいデータは専門の機関や会員でないと得ることは難しいので商品取引所や新聞のグラフから読み取り近似値をつくり、直近のデータはニュースの記事からとり1973年から2007年11月までの原油価格データを作成しました。

 

そのデータをマイクロソフトのOffice2007のExcel2007で折れ線グラフを作成しました。

 

グラフを眺めると1999年頃から原油価格が値上がりし、2001の9.11テロ事件後から急勾配で原油価格が値上がりしていることがわかりました。

 

それで初めて、最近の新聞に載っている原油高騰の原因の一端を理解することができました。

 

①2001年のアメリ同時多発テロ以後オイルマネー始め投資家の資金がアメリカ市場から原油市場や他の市場に流れた。

 

②2000年頃から中国、インドなどが経済発展してきて石油、電力などエネルギーの消費が増え、ここ数年これら発展途上国のさらなる経済成長でエネルギー消費が急激増大しており、石油獲得競争が原油不足の先行き不安を招き原油価格を押し上げている。

 

アメリカのサブプライム問題でアメリカ・ヨーロッパの金融機関や証券会社などが莫大な損失をだし、投資マネーが金融市場から原油市場に流れた。

 

原油価格データ】
①1973年から2005年までの原油スポット年平均価格は外務省HPの資料
②2006年の原油スポット年平均価格、2007年の第1から第3四半期原油スポット平均価格はNYMEXと新聞のチャートから読み取り作成(近似値になりますが傾向は掴めると思います。)
③2007年10月から11月7日までの原油スポット日別価格は新聞やNIKKEI.NET ニュースの原油価格記事から読みとり作成

 

サブプライムローン
サブプライムローンとはアメリカの低所得者向け高金利住宅ローンのことである。

 

アメリカ住宅ローンの種類(残高:約10兆ドル)
①プライム・ローン(残高:約8兆ドル)
延滞歴のない信用力の高い個人向け
②オルトA・ローン(残高:約1兆ドル)
収入証明など借入に必要な書類が揃えられない個人事業者、信用力はサブプライムよりある。
サブプライム・ローン(残高:約1兆ドル)
低所得者やクレジットカードの延滞を繰り返すなど信用力の低い個人

 

1990年後半らの住宅価格が値上がりし住宅関係の景気が良くなり、低所得者でも手に入る返済可能なローン商品が多く発売されました。

 

住宅ローン会社はこれを証券化し金融機関やヘッジファンドに売り込みました。しかし、2006年ごろから住宅価格の上昇率が鈍り、サブプライム・ローンの焦げ付きがでてきました。2007年3月には大手のニュー・センチュリー・ファイナンシャルが、経営破綻すると他の金融機関に波及し、9月には金融機関の損失が2000億ドル(約23兆円)に達するといわれました。(日経9/1)

 

2007年11月12日の日経新聞では2007年12月までの欧米金融機関のサブプライム関連の損失額の総計はシティグループ170億ドル(約20兆円)、メリルリンチ80億ドル(約9兆円)、モルガンスタンレー50億ドル(約6兆円)、そのほか8社は約1兆円から3兆円という莫大な損失が見込まれると伝えていました。

 

今年の日本の企業実績は新興国の景気に支えられ好調ですが、今後の日本の景気は原油高騰やサブプライム問題が影響しブレーキがかかる可能性があると伝えていました。