2019年9月14日、サウジアラビアアブカイク油田にあるSaudi・ARAMCO製油所の石油施設が攻撃を受け爆発炎上しました。
今回の攻撃事件でSaudi・ARAMCOの事件(1)は3回になりました。
サウジアラビアはイエメンの反政府武装組織フーシ派(2)が無人ドローンで攻撃したと発表しました。サウジアラビア政府はイランがフーシを支援していると非難しましたがイラン政府は否定しています。
石油施設の被害により石油生産能力は日量570万バレル減少し、世界の石油供給量にすると6%弱減少に匹敵するとのことでした。
さあ大変と9月16日の原油のWTI(先物価格)は急騰し、8.05ドル高の62.90ドルになりました。北海ブレント原油先物も2008年以降で最大となりました。
しかし、9月に就任したばかりのサウジ王室の皇太子アブドルアジズ・エネルギー相は9月17日会見を開き、被害は石油タンク2基で製油所に被害が及ばなかったことで生産能力が早期に回復すると発表しました。
その結果、9月17日のWTI先物は大幅反落となり、59.34ドルになり、18日には58.11ドルまで値下がりしました。
米中貿易戦争の影響で世界経済は下がっており、従って石油消費も下がっていることやアメリカのシェールオイルやシェールガスの増産で石油やLNGの増産が可能という見立てから原油価格高騰の心配はなくなったと思われます。
今回の原油高騰は一時的だったこともあり、2008年から2019年の長期原油価格推移グラフにするとほとんど確認できませんでした。
【参考】
(1)Saudi・ARAMCOの事件
1.Saudi・ARAMCO大爆発事件 1977年5月
2.Saudi・ARAMCOのテロ攻撃未遂事件 2006年2月27日
Saudi・ARAMCOの誕生
1945年アメリカのスタンダードオイルカリフォルニア(後のシェブロン)、スタンダードオイルニュージャージー(後のエクソン)など4社により、1945年に設立した会社がアラムコ(ARAMCO:Arabian American Oil Company)です。
1976年、アメリカの石油会社「Arabian American Oil Company(ARAMCO)」をサウジアラビアが国有化し、サウジ国有石油会社「Saudi Arabian Oil Company(Saudi・ARAMCO)」としました。
(2)イエメン反政府組織フーシ派
イエメンはサウジアラビアが支援するイスラム教スンニ派のハーディー大統領率いる暫定政府とイスラム教シーラ派のフーシが率いる反政府武装組織フーシ派とアラビア半島のイスラムテロ組織アルカーイダ系のシャリーア率いる3勢力が2015年からイエメンで内戦を続けている。シーア派のイランはスンニ派のサウジアラビアと敵対しており、今回の攻撃はイランが関与したと思っている。