映画「ダ・ヴィンチ・コード」について

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小説「ダ・ヴィンチ・コード」はレオナルドダビンチの名画に隠された暗号とキリスト教二千年の歴史を絡めたミステリーで、話のテンポがどんどん進むがそれでいて、重みがあり、馴染みのある名画にエーと驚く謎が隠されて、とにかく息もつかせないで、どんどん吸い込まれて読んでしまいました。

西洋の歴史、キリスト教の歴史や知識をあまり持ってないので、小説の中の説明と「30分でわかるダ・ビンチの暗号と謎」というアンチョコのにわか知識を仕入れ、映画「ダ・ヴィンチ・コード」を見に行きました。

キリスト教についての知識はほんのわずかにでしたが、映画は敵の追ってをかわしながらのスリルとしだいに明かされていく謎にあらためて新鮮な驚きをもつことができ、面白いと感じました。

しかし、小説や映画に登場するシオン修道会テンプル騎士団、聖杯伝説、マグダラのマリア、初期キリスト教時代、カトリック教、レオナルド・ダ・ビンチ時代のキリスト教などに関するできごとは千年から2千年の長い年月の間に繰り広げられ、そのしがらみと曰く因縁には深いものがあり、とても付け焼刃の知識では理解できないなにかがあると感じました。

そして、キリスト教徒の西洋人の感じ方、キリスト教の知識を持っている人、キリスト教の知識を持ってない人が感じるそれぞれの面白さは結構落差があるのではないかと思いました。

それはともかく、この話の背景と設定など記述します。

西暦397年キリスト教正統派教会が新約聖書を編纂しましたが、パウロの手紙などのほか採用された西暦65年~95年に作られたマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの4つの福音書以外の福音書は異端の書とし焼却され、それを信ずるものは徹底的に弾圧されました。

【追記】110年~150年のペテロの福音書新約聖書外典として正式採用された。

キリスト教正統派教会ではマグダラのマリアは娼婦として扱われ、西暦397年頃、焼却処分された福音書の中にマグダラのマリアが記述したマリア福音書(110年~150年)ありました。

そして、1500年後の1945年エジプトのナグ・ハマディナグ・ハマディ文書として「トマス福音書」(110年~150年)、「ピリポ福音書」、「真理の福音書」ほか10点の文書が見つかりました。
そして、ピリポ福音書マグダラのマリアはイエスに最も近い弟子であり、伴侶であると書かれていました。

【追記】1978年にエジプトで古文書が発見され、2006年に解読され、「ユダの福音書」であると発表されました。

yaseta.hateblo.jp


しかし、4つの福音書以外の福音書は宗教思想が正統派教会と合わなかったのですが、イエスの教えと反する思想を伝える書ではなかったのです。

シオン修道会は第一回十字軍指揮官で聖地奪還後最初の支配者だったブイヨンが設立したものでイエスの血脈を伝える人々によってこの秘密結社は継承され、現在も存続しています。

そして、その歴代総長のなかに画家、彫刻家、音楽家、科学者がおり、アイザック・ニュートンやレオナルド・ダ・ビンチがおりました。

一方、オプスディは1928年にエスクリバーというスペインの神父によって設立された「その職業、地位を変えずに俗世間の中で聖性を高めることができる」として「神の御業(オプスディ)」と名乗り、カトリック教会に認められた教会組織でニューヨークに本部ビルを最近、完成させています。

マグダラのマリア」がイエスの妻であり、イエスの真の後継者であるなどという聖書の教えに反する仮説が世間に出て、キリスト教2000年の歴史を覆すような論争になることにカトリック教会は嫌悪感を持っています。

このような事実の基に作者ダン・ブラウンは「マグダラのマリア」に関するある事柄が公表されることを恐れるオプスディの代表、そしてオプスディの過激派を設定します。

マグダラのマリア」血脈の人を守るためレオナルド・ダ・ビンチの名画に暗号が隠されてており、それを解くキーも暗号によって次世代に継承され、沈黙を守るという秘密結社“シオン修道会”を設定します。

自分の欲望のためどのような手段をとっても「マクダラのマリアの血脈を伝える謎」を明かし公表したいという悪役を設定し、物語「ダ・ビンチ・コード」は作られました。

(内容も詳しく書きたいですが、これから小説を読んだり、映画を見る人のため控えます。)

登場人物は以下のとおりでした。
マグダラのマリア」に関わる人を守る“シオン修道会”の総長でルーブル美術館の館長ソニエール
殺されたソニエールの姪のフランス警察暗号解読官ソフィー(俳優オドレイ・トトウ)
ソフィーを助けるハーバード大学宗教象徴学教授ラングドン(俳優トム・ハンクス
それに対し、
教会派原理主義の結社オプスデイの司教アリンガローサ
アリンガローサ司教に忠実に従う過激派修道僧、シラス
影の人物リー・ティービング
殺人事件として犯人を追うフランス警察の警部ファーシュ(俳優ジャン・レノ

映画を見ていたとき、それぞれのグループは実在する団体であり、登場するキーとなるレオナルド・ダ・ビンチの名画、教会などは事実であり、どこの部分が推察されたものか区別がわからなくなりました。

以前から西洋の探偵・法廷小説を読んである程度理解できるようキリスト教についての基礎知識を勉強しようと思っていましたが、あまりやっていませんでした。

最近、せめて話題になったことがらだけでも、少しづつではあるが、勉強するようにしています。