日本版SOX法について

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8月末のテレビで2008年4月からの日本版SOX法が施行されると伝えられました。

 

最初、テレビのタイトルの文字「SOX法」を見たとき、硫黄酸化物(SOx)と受け取り、なんで今頃、大気関係の公害防止法が改正されるのかと思いましたが、次の言葉を聞き勘違いであることがわかりました。

 

日本版SOX法はこれまでの証券取引法を改正した金融証券取引法の一部で企業に内部統制の導入を求める法律であることが分かりました。

 

アメリカでは1990年頃から2000年にかけて会計不祥事を起こし、特にエンロン事件は巨額の粉飾決算で世界中を驚かしました。これを受け、2002年SOX法(企業改革法サーベンス・オクスリー法)を成立させました。

 

日本でも最近まで上場企業で粉飾決算など会計不祥事を引き起こしたため2006年6月に金融商品取引法を改正したもので、この金融商品取引法を別名「日本版SOX法」と呼ばれるようになりました。

 

不適切な会計処理をした大規模監査法人の業務停止処分
 

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日本版SOX法は企業の内部統制(コーポレートガバナンス Corporate Governance)の強化を目的に①財務報告の信頼性、②法令順守(Compliance コンプライアンス)、③業務の有効性と効率性、④資産の保全を図ろうとするものです。(出典:週刊東洋経済2007.6.2号)

 

そして日本版SOX法の対象は上場企業とそのグループ会社で2008年4月より施行され、企業は内部統制報告書の毎年1回報告し、5年間の関係資料・データの保管を義務づけられました。

 

企業経営の健全性を保つためにはやむをえないですが、企業にとって、これにかかるコストは大きいものがあります。直接関係する経理部門の人員確保や外部会計事務所への費用などはもちろんですが、システム費用もかかります。

 

以前、私はシステム運用を担当していたとき、企業会計基準などの法規が改正され、システムの変更や関係書類・データの保存期間や保存方法や場所の検討で大変でした。

 

ソフトウエアの開発または修正、それに伴うシステム機器の増設(サーバーやストレージ)など、関係データの増加分の保存(関係書類やデータを倉庫サービス会社に委託)などがありました。

 

また、証憑書類の電子データ化や認証システムの検討をしましたが当時は技術成熟していなく、費用もかかり、法規も絡み実現しませんでした。

 

日本版SOX法は企業にとってコスト負担になる一方、産業全体では今回も新しい市場が生まれます。

 

以前、実現しなかったものも最近はスキャナーの読み込み速度が格段スピードアップし、優れた認証システムが開発され証憑書類の電子データ化も可能になっています(技術も進歩しているのでおそらく許可されていると個人的に推定しています。)

 

システムだけでなく産業全体で日本版SOX法の施行で関連する市場規模は2005年500億円だったのが2010年には1兆円の規模に膨れ上がると予想されています。

 

日本版SOX法などでひろがる市場規模 
2005年500億円、2006年2000億、2007年4000億、2008年6000億、2009年8000億、2010年には1兆円
(出典:IDC Japan 2007年1月)

 

カネボウライブドア粉飾決算事件や株の村上ファンドインサイダー取引などの企業関係の金融不祥事によりこのような法律ができ、今後このような事件はある程度防げますが、最近目立つ、政界、官庁、自治体、団体などの不適切な会計処理の防止に向け法律を改正し、厳しく臨んでもらいたいものです。

 

昔、政界と企業が引き起こしたロッキード事件がありました。
 

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性善説が通らないと悪質対応のコストが増加し、生活が厳しくなります。やはり、最近、見直しが叫ばれている学校や家庭の教育が大切だと思えてきました。