新風舎の不誠実な自費出版勧誘が招いたトラブルと倒産

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2008年1月7日の読売新聞に「自費出版大手の新風舎民事再生の手続きを申請している。」報道され、1月20日には「予定していた支援企業から支援見合わせの方針が伝えられ、民事再生を断念し、新風舎は破産手続きに移行する見通しになる。」と報道されました。

 

これらのニュースが報道される半年前の2007年夏、自費出版した顧客と高額な出版費用、不十分な説明、地元の数店の本屋しか本が並んでいないなどトラブルを何件も起こし、中には裁判になっていると報道されてました。

 

私は新風舎自費出版について相談に行き、自費出版を勧められましたが高額のため断ったことがありました。

 

私の35年の石油会社勤務に関連し、石油の歴史を調べてはまとめ、2006年5月より、マンガの挿絵とともにブログに載せていました。そして、15~16回書いた2006年8月、読売新聞の広告で自費出版会社「新風舎」の自費出版セミナーを知り申し込みました。

 

これから、1年~2年間で100回書き続ければ200頁になるので、本を作成することができると思ったからです。自費出版した場合、費用はどれくらいか、どんな条件をクリアすれば本屋で販売できるのか、素人が作ったマンガや文章は世間に通用するか、通用するための表現方法はどんなところに注意すればよいか、知りたいと思いました。そして、自分を過信して売れると思い込み、自費出版費用を回収できるかもしれないと欲も出てきました。

 

8月初め新風舎のある東京青山の小さなビルに到着しました。1階は熱風書房という本屋があり、雑誌はなくプロの本が少しと自費出版らしい本が陳列されていましたが絵本が多く目につきました。そして、上の階の一室へ行き、若い人から中高年の人およそ20人と自費出版セミナーを受けました。

 

セミナーはいろいろな体験や考えを本という形にして残し多くの人に伝えるという夢を実現するため新風舎は皆さんを支援しますという話しと出版した本や著者が夢を実現した話しの紹介でした。

 

数日後、原稿のサンプルを見ながら相談しましたがマンガが入っている石油の本は今までないので出版したほうが良いというだけで、絵や文章についての評価はほとんどありませんでした。文章や構成や本のデザインについては契約を交わし、初期の段階から共同作業でやると良い本ができ、販売が有利になるので是非やりましょうと提案されました。

 

それでは自費出版費用はどれくらいかと尋ねたところ、出された出版企画案Aの金額を見て驚きました。
費用はなんと257万円(税込み269万8500円)でした。企画案Aの内容は以下でした。

 

B6判、ハードカバー、モノクロ、192頁以内、発行部数500部、予価1400円(税込み1470円)

 

刊行まで新風舎が行う企画・編集内容
編集者が依頼者に対し校正や文章についてアドバイス、本の装丁、デザインの提案など

 

刊行後新風舎の活動
書店活動を開始します。
全国の書店への書籍注文書を兼ねたオリジナルのカラーチラシを差し上げます。本を紹介する際にご活用ください。
全国4店舗ある直営店で販売します。国立国会図書館に納本します。
全国紙(読売、朝日)に新刊広告を掲載します。媒体、サイズ、レイアウト、掲載時期はお任せください。
全国800書店へ書籍のファックス営業を行い、新風社ホームページに紹介し販売展開します。
アマゾンなど大手インターネット書店で販売します。
増刷保証受諾書(保証期間は奥付日より1年間)の発行があれば、期間内に在庫がなくなった場合、何度でも増刷します。増刷時の制作費は新風社が負担し、印税は定価の7%支払います。

 

初期の段階で契約し共同作業で出版しましょうと言われても、原稿を書き上げる目途も立っていないのに高額の費用を提案されても、承諾するわけもいかず、断りました。

 

そのときは単純に製作費用より宣伝活動に費用がかかるのかなと思っていましたが、後であらためて企画書を読むと全国書店へ本を置くとは書いておりません。全国誌に載せるが時期は新風社に任せてください。とあり、宣伝活動費用はそれほどかからないことがわかりました。

 

数日後、出版企画案Bが送付され自費出版費用213万円(税込み223万6500円)と提示されていました。私は50万~100万円ならと思っており、原稿が完成するかわからないので再度、断りました。

 

新風舎は私に対し、詐欺行為をしたと思いませんが、顧客に対し、その作品を正しく評価せず、ほめるだけほめ、全国書店や全国誌に宣伝するという誤解を招き、自分の本が売れると勘違いさせる勧誘方法は出版費用が高額なだけに、トラブルを起こし、詐欺行為と言われかねないと思いました。

 

今、冷静になって考えると、自分の本が売れ、利益を得るなど非常に確率が低く、到底、無理な話で新風舎側も全国書店に置くとは言っていません。しかし、新風舎と話をしていた時は全国的に宣伝され、売れるようになるかもしれないと誤解していましたし、儲けたいという欲が出ていました。

 

自費出版する場合は出版費用の明細と根拠を聞き納得して契約することと出版費用を回収しようなどと考えないことだと思いました。