二官八省制における四部官制について

四部官

二官八省制において官位・官職を任ずる儀式を除目といいます。
1.転任:右大臣から左大臣にのぼる、少領から大領にうつるなど、順序によって進む。
2.遷任:諸司の官から諸寮の官にうつる、文官から武官にかわる、地方官(外官)から京官になるなど。
3.推任:希望していないのに上より推され任ずる
4.兼任:一人で二つの官をもつ。
5.再任:一度辞職したのち、再びもとの役に任ずる。
6.停任:父母の喪(も)に遭ったとき、服解(ふくげ、一時、官を解かれる)といって、除服になること。
7.復任:除服から原職に復すること。
8.解官:罪を犯したり、そのほかの事情で官職をやめること。
9.致仕:老年になり、官を辞して退くこと。

*郡司(ぐんじ):郡を三等にわけ40里を大郡、4里~30里を中郡、3里以下を少郡とし、それらを管轄管理する郡司の職を大領、中領、少領とした。

*国:国庫収納の多少により大国、上国、中国、下国の四等わけた。

*大国(たいこく):大和、河内、伊勢、武蔵、上総、下総、常陸、近江、上野、陸奥越前、播磨、肥後の計13か国。

*上国(じょうこく):山城、摂津、尾張三河遠江駿河、甲斐、相模、美濃、信濃、下野、出羽、加賀、越中、越後、丹波、但馬、因幡伯耆、出雲、美作、備前、備中、備後、安芸、周防、紀伊、阿波、讃岐、伊予、筑前、築後、肥前豊前、豊後の計35か国。

*中国(ちゅうこく):安房、若狭、能登佐渡、岩見、長門、土佐、日向、大隅、薩摩の計11か国。

*下国(げこく):和泉、伊賀、志摩、伊豆、飛騨、壱岐淡路壱岐対馬の計10か国。

紫式部の父藤原為時は下国「淡路守」に任命されたが、事情(式部の知略?)により、大国「越前守」に転任した。

国司:国は現在の県に相当し、京都の役人は内官、国司を外官(地方官)と呼び、国司の政務場所を国府と呼ぶ。国司は国の政務を行う役人を四等にわけた四部官の総称をいうが、単に国司という場合、現在の県知事相当で最上位の守(かみ)を言う場合が多い。
*受領(ずりょう):最上位の国司(国守くにのかみ)を受領ともいう。受領とは「うけおさむる」とい意味で、前任より引継ぎ、うけおさめ、政務をとることをいう。

国司(本来の意味は四部官の総称をいう)
律令四部官:長官(かみ)、次官(すけ)、掾(じょう)、主典(さかん)
国司四部官: 守(かみ)、 介(すけ)、掾(じょう)、 目(さかん)

*守:諸国の行政、司法、警察以下すべての諸般を掌(つかさど)る。上総、常陸、上野の三国は親王の任国として、その長官を太守と呼んだ。親王は皇族のため赴任することなく名誉職として俸禄だけ支給した。

*権守(ごんのかみ):守の補佐で守が在京のとき、国府で事務を行なう場合と赴任しない場合もある。

*介(すけ):守と同じ職、守がいないとき諸般いっさいを行う。例:伊予介、常陸介。

*掾(じょう):大掾少掾がある、国内の課題の審査・文案の判断・裁判などを行う。

*目(さかん):事を受けての課題の解決・文の作成・公文(公文書)の読み申渡しなど行う。下の史生が書紀や雑務を行う。さらに医師、陰陽師、書生(しょしょう)がいる。

目代(もくだい):国司の目(さかん)とは関係なく、守が赴任先地元の文筆に長けた有能な者を私的に置き、書紀や書類の管理補助をさせた。そして、その職は世襲することが多くあったといいます。

*私の会社現役時代、私がいた情報システム室の同僚に高知県(中国・土佐)出身の目代(もくだい)という姓の後輩いました。彼の先祖は役人の代りを務めていたからということを思い出しました。

四部官制】    
どの役所においても役人を四等に分けて、長官(かみ)、次官(すけ)、判官(じょう)、主典(さかん)にわりあてました。
1.長官(かみ):役所のすべてを掌(つかさど)る。
2.次官(すけ):長官を補佐する。
3.判官(じょう):仕事の管理監督・書類の審査
4.主典(さかん):仕事を受け書類の登録、書類の案文作成、公文(公文書)を読む。官、省、職(しき)、寮など役所によって、文字が違っても、長官は「かみ」、次官は「すけ」、判官は「じょう」、主典は「さかん」と読みます。

【参考】
1.「官職要解 講談社学術文庫」 和田英松 講談社 1983.11
2.「平安大事典」 倉田実/編 朝日新聞出版 2015.4