日本仏教の行事「除夜の鐘」と中国の古代思想「五行説」

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晦日の夜に始まったお寺の除夜の鐘(*1)は百七つ鳴り終わり、2018年は過ぎ去りました。
そして百八つ目が鳴ると同時に新しい年2019年が始まりました。

 

古代中国の自然哲学の思想「五行説」(*2)では四季の移り変わりは五行の推移によって起こるとして、春、夏、秋、冬を色の青、朱、白、玄を組み合わせ、青春、朱夏、白秋、玄冬と表現しています。
そして、人生も五行の推移によるとして青春、朱夏、白秋、玄冬の四季にたとえています。

 

参考 キトラ古墳の四神
色と獣と方位東西南北を組み合わせ、五行思想の方位を青龍、白虎、朱雀、玄武にたとえています。

 

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五行説の水行:泉から湧き出る命の水で、泉は胎内を表し、冬を象徴します。
人生は玄冬から始まります。未来が見えない幼年期を玄冬にたとえます。

 

木行:玄冬が過ぎると木行、土に潤いが出て草木が青々と茂る春すなわち青春になります。
志を抱き、勉学・心身を鍛え、成長する青年期を青春にたとえます。

 

火行:青春が過ぎると真っ赤に燃える太陽が照り付ける夏すなわち朱夏になります。
人生の盛り迎える中年期を朱夏にたとえます。

 

金行:中年期を過ぎると金行、収穫の季節の秋すなわち白秋となります。
人生の最期の季節として高齢期を白秋にたとえます。

 

新しい年を迎えたことで私は白秋の中間点を通過し、後期高齢者になりました。
私の人生もいよいよ残り少なくなってきたと自覚した次第です。

 

門松は冥途の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし(一休さんの句)

 

【参考】
(*1)除夜の鐘、フリー百科事典「ウィキペディアWikipedia)」
百八つの煩悩を払う除夜の鐘は旧年の大晦日に百七つ撞き、残り1つの百八つ目は新年が始まると同時に撞くという。

 

(*2)五行説、フリー百科事典「ウィキペディアWikipedia)」
五行思想または五行説とは、古代中国に端を発する自然哲学の思想。
万物は木・火・土・金・水の5種類の元素からなるという説である。

 

5種類の元素は「互いに影響を与え合い、その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環する」という考えが根底に存在する。

 

自然現象の四季変化を観察し抽象化された。
自然現象、政治体制、占い、医療など様々な分野の背景となる性質、周期、相互作用などを説明する5つの概念である。
単に5種の基本要素というだけでなく、変化の中における5種の、状態、運動、過程という捉え方もされる。

 

木(木行):樹木が元になっており、樹木の成長・発育する様子を表す。「春」の象徴。

 

火(火行):光り、煇く炎が元になっており、火のような灼熱の性質を表す。「夏」の象徴。

 

土(土行)草木の芽が出る様子が元になっており、万物を育成・保護する性質を表す。「季節の変わり目」の象徴。

 

金(金行):土の中で光り、煇く鉱物・金属が元になっており、金属のように冷徹・堅固・確実な性質を表す。収獲の季節「秋」の象徴。

 

水(水行):泉から涌き出て流れる水が元になっており、これを命の泉と考え、胎内と霊性を兼ね備える性質を表す。「冬」の象徴。

 

四季の変化は五行の推移によって起こると考えられた。また、方角・色など、あらゆる物に五行が配当されている。そこから、四季に対応する五行の色と四季を合わせて、青春、朱夏、白秋、玄冬といった言葉が生まれた。

 

五行----木----火----土----金----水
-----↓-----↓-----↓-----↓------↓-----↓
五色----青----朱----黄----白----玄
五方----東----南----中----西----北
五季----春----夏----土用--秋----冬
五星----木星--火星--土星--金星--水星
五臓----肝臓--心臓--脾臓--肺臓--腎臓
五腑----胆嚢--小腸--胃----大腸--膀胱
五獣----青龍--朱雀--麒麟--白虎--玄武
五徳----仁----礼----信----義----智
五経----楽----書----詩----礼----易