太陰暦の季節のズレを二十四節気と閏月(うるうづき)で補正した太陰太陽暦について

陰暦月と二十四節気の節気月・中気月の関係表

古典文学に記述されている日付を現在の西暦日付の感覚で読んでいると理解できないことがあります。それは旧暦(江戸時代後期の天保歴)と同様、平安・鎌倉時代太陰太陽暦を用いているからです。

 

そこで旧暦の太陰太陽暦ついて整理してみました。

 

太陰太陽暦は月の満ち欠けで作られた太陰暦(1年354日)は季節にズレが生じるため、太陽の黄道一周(365日)から求めた二十四節気の季節でズレを補正した暦です。(黄道:参考1)

 

太陰暦新月から次の新月の前日までの1ヶ月29.5日を「29日の小の月」または「30日の大の月」を入れて12ヶ月1年354日としています。

 

太陰暦太陽暦に比べ1年が354日と11日少ないため日にちがズレます。3年間で33日(太陽暦は1095日、太陰暦は1062日)ズレますので3年に一回、閏(うるう)月(29日または30日)を挿入して1年13カ月(1091日または1092日)となる閏年を設定し太陽暦(1095日)に近づけ調整します。

 

太陰暦の日にちのズレによる季節を知るため、太陽の黄道一周を冬至春分夏至秋分と4等分した季節を冬、春、夏、秋の四季としました。そして、四季をそれぞれ6つに分けた二十四節気の季節、さらに二十四節季をそれぞれ3つに分けた七十二候の季節を太陰暦に配置したのです。

 

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太陽の黄道一周1年は12カ月なので二節気で1か月になり、1か月二節気の前半の節気を節気、後半の「節気」を「中気」としました。(例:立春は第一節気で正月節と雨水は第二節気で正月中、啓蟄は第三節気で二月節、春分は第四節気で二月中、清明は第四節気で三月節、穀雨は第五節気で三月中  ------。)

【閏月の置き方】

太陰太陽暦の季節のズレは二十四節気により知ることが可能になりますが日にちのズレは3年に一回閏月を置いて1年を13ケ月にして調整します。

 

閏月は「陰暦月」に二十四節気の「中気」が外れた(含まない)陰暦月、その前の陰暦月後の新月の日に「閏(うるう)」をつけ置きます。(例:閏二月)

おおまかにいうと、中気が月の初めや終りに来る、すなわち、季節のズレが大きくなるところに、閏月を置きます。

 

令和4年(2023年)の今年は太陰太陽暦閏年に当ります。

通常、春分(二月中)を含む月は陰暦二月、穀雨(三月中)を含む月は陰暦三月になりますが、2023年の穀雨(三月中)は陰暦4/1~4/16と陰暦四月になり、陰暦三月から外れるので前の陰暦二月の後に閏二月を置いて13ケ月とします。

 

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時計やラジオ・テレビ・スマホなどの情報手段がなかった平安・鎌倉時代の人々は、月(月齢)を見て、満天に広がった星が見えるが月が見えない時は新月(1日)かそれに近い日にち、三日月(3日)、上弦(7日または8日 )、十三夜、十五夜(満月、15日)、十六夜、下弦(22日または23日)のようにおよその日にちを知ったと思われます。

多くの古典文学作品には人々が月の神秘性や魅力をそれぞれ感じとり、和歌や物語として表現しています。

 

【参考】

1.太陽の黄道:地球が太陽の周りを1年間かけて1周するが、地球から見ると太陽が天球(地球の空)を1周するように見え、この太陽の軌道を「黄道」と呼ぶ。

2.「暦Wiki/太陰太陽暦/置換法」、国立天文台暦計算室ホームページ