グーグル(Google)、ネット検閲・制限に反発し、中国本土から撤退

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ネット検索サービスの大手であるグーグル(Google)が3月22日、中国本土から撤退し、香港にその事業を移したと24日の読売新聞に載った。

 

2010年1月12日、Googleは中国の人権活動家が使っているGmailが中国政府の関与と思われるサイバー攻撃(検閲・妨害行為など)を受けたと公表し、メールやネット検索で行われている中国政府の検閲や制限に対し、その撤廃を求め、中国政府と協議に入った。

 

その後、2回、協議したが中国はネットによる自由な情報の流れが国の安定を脅かす重大問題になりかねないと検閲・制限を続行する方針を変えず、今回のgoogleの中国本土撤退になったという。

 

Googleの代わりとなる中国生まれの検索サイト「百度バイドゥ)」は既に、中国検索市場の6割を占めるようになっており、痛手にならないことが中国政府に強硬策を取らせたと言われている。

 

百度バイドゥ)について 

yaseta.hateblo.jp

中国の検索サイトの市場占有率(2009.10~12)
百度  :58.5%
Google :35.6%
捜狗  : 1.0%
その他 : 4.9%
(「Analysys International資料」、2010.3.24、読売新聞)

 

中国では政府の検閲・制限を受け入れる中国版の代替(模倣)サービスが世界で流通している人気サービスより、優位に立っており、急成長している。
電子商取引、オークションサイトでは世界の「イーベイ」に対し、中国の「アリババ」や「淘宝網」。
動画サイトでは世界の「ユーチューブ」に対し、中国の「土豆網」、「優酷」。
ブログサービスでは世界の「ツイッター」に対し、中国の「新浪微博」・・・・・等

 

中国の企業と取引する世界の企業や個人も急激な増加を見せており、中国版電子取引の「アリババ」は40カ国に1000万人以上の会員を抱え、オークションの「淘宝網」は1億4500万人の会員がいるという。

 

また、中国内のインターネット人口も急速に増大している。
中国のインターネット人口の推移
2002年 約5000万人(普及率:3.8%)
2004年 約1億人(普及率:7.7%)
2007年 約2億人(普及率:15.4%)
2009年 3億8400万人(普及率:29.5%)
(「中国インターネット情報センター2009年資料」2010.3.24、読売新聞)

 

中国は13億人という世界最大の人口を抱え、インターネット普及率30%弱でありながら利用者数は約4億人と普及率75%の日本の利用者の4倍強である。インターネット普及率も急激に増加しており、日本並みの普及率になった場合、もたらされる利益、良し悪しを含め、波及する種々の影響は図りしれない。
(「日本のインターネット人口:9000万人、普及率75%」読売新聞、2009年4月7日)

 

中国には巨大な自国の市場があるため、世界の標準から少々外れた独自のルールや物を作ってもやっていけるという自信が海外の国や企業と軋轢を生んでいるように思う。

 

Googleもネット人口4億人を抱える中国市場には魅力を感じており、研究開発拠点や営業拠点を存続させ、Googleの検索サイトも中国内の事業から撤退したものの検閲の無い香港版Googleの検索サービスを開始したそうである。

 

【蛇足】
中国版Google検索サイトのロゴの下の「谷歌」という文字はGoogleの中国語の社名表記である。
社名「Google」の中国語の発音が谷歌「グゥガ」に近いこと、また、「谷歌」の谷は日本語の「谷」とは違い、穀物の「コク」を指し、「谷」は簡体字で「穀」を意味し、「種まき」・「収穫」が「期待」と「情報を得る喜び」につながるとして2006年4月、事業開始の時、公表した。