2009年1月20日正午、ワシントンの連邦議会議事堂前で、アメリカ民主党バラク・オバマ氏(47)の大統領就任式が行われ、オバマ氏は第16代大統領リンカーンが使ったと言われる聖書に左手を置き、宣誓を行いました。
1.危機への決意
われわれが直面している試練は現実だ。試練は深刻で、数多い。試練は簡単な方法や短期間では解決しない。だが、米国よ、わかって欲しい。これらの試練は克服される。
われわれが直面している試練は現実だ。試練は深刻で、数多い。試練は簡単な方法や短期間では解決しない。だが、米国よ、わかって欲しい。これらの試練は克服される。
今日、われわれが恐怖ではなく希望を、争いや不和ではなく目標を共有することを選んだため、ここに集まったからだ。
われわれは政治を長期間窒息させてきた些細な不満や偽りの約束、非難や使い古された定説を終わらせることを宣言する。
2.国家の偉大さ
世代から世代へと引き継がれてきた崇高な考えはすべての人は平等で自由であり、最大限の幸福を追求する機会に値するという神からの約束のことである。
世代から世代へと引き継がれてきた崇高な考えはすべての人は平等で自由であり、最大限の幸福を追求する機会に値するという神からの約束のことである。
リスクを恐れぬ者、実行する者、創造する者が長い、でこぼこ道を繁栄と自由を目指し、われわれを導いてきた。ほとんどは無名の働く男女だ。
われわれのために彼らはわずかな財産をまとめ、新たな生活を求め、大洋を旅した。
われわれのためにかれらは劣悪な条件で働き、西部に移住し、むち打ちに耐えながら、硬い大地を耕した。
これらの男女はわれわれがより良い生活を送れるように、手の皮がすりむけるまでもがき、犠牲になり、働いた。かれらは米国を一人ひとりの野心の集積より大きく、生まれや富、党脈のすべての違いを超えるほど、偉大であると考えていた。
これが今日、われわれが続けている旅なのだ。同じ手を用いるだけで、限られた利益に固執し、面倒な決定を先送りする、そのような時代は確実に終わった。
今日からわれわれは立ちあがり、ほこりを払って、米国再生の仕事をもう一度、着手しなければならない。
3.再生への道
今回の経済危機は監視がなければ市場は統制を失い、豊かなものばかりが優遇する国の繁栄が長続きしないことをわれわれに再認識させた。われわれの経済の成功はいつも、われわれの繁栄が広がる範囲や、意欲あるすべての人に機会を与える能力によるものだった。
今回の経済危機は監視がなければ市場は統制を失い、豊かなものばかりが優遇する国の繁栄が長続きしないことをわれわれに再認識させた。われわれの経済の成功はいつも、われわれの繁栄が広がる範囲や、意欲あるすべての人に機会を与える能力によるものだった。
現在の経済状態は、大胆かつ素早い行動を求めている。われわれは、新たな雇用を創出するだけではなく、成長のための新たな基盤を築くために行動する。
4.安全と理想
建国の父たちが起草した「法の支配と国民の権利を保障する憲章」は何世代もの犠牲により拡充された。今日でもこれらの理想は世界を照らしている。
建国の父たちが起草した「法の支配と国民の権利を保障する憲章」は何世代もの犠牲により拡充された。今日でもこれらの理想は世界を照らしている。
巨大都市から私の生まれた小さな村まで今日みているすべての国の人々や政府に、米国が平和と尊厳の未来を求める国々、すべての男女と子供の友人であり、われわれがもう一度、指導力を発揮して行く用意があると、知って欲しい。
われわれの国はあらゆる宗教の教徒それに神を信じない人による国家だ。われわれはあらゆる言語や文化で形つくられ、地球上のあらゆる場所から集まっている。
われわれは南北戦争や人種差別の苦い経験があり、その時代を乗り越え、より団結した。だから、われわれは信じられずにはいられない。過去の憎しみはいずれ消え、民族間の隔りも消えると。
5.新しい責任の時代
われわれの挑戦は新しいかもしれない。われわれがそれに立ち向かう手段も新しいかもしれない。しかし、われわれの成功の土台である、誠実や勤勉、勇気、公正、寛容、好奇心、忠誠心、愛国心といった価値観は古いものだ。これらは不変の真実である。
われわれの挑戦は新しいかもしれない。われわれがそれに立ち向かう手段も新しいかもしれない。しかし、われわれの成功の土台である、誠実や勤勉、勇気、公正、寛容、好奇心、忠誠心、愛国心といった価値観は古いものだ。これらは不変の真実である。
これらは歴史を通じて進歩を遂げるため静かな力となってきた。必要となるのはそうした真実に立ち返ることだ。
いまわれわれに求められていることは、新しい責任の時代に入ることだ。米国民一人ひとりが自身と自国、世界に義務を負うことを認識し、その義務をいやいやながら引き受けるのではなく、喜んで機会をとらえることだ。困難な任務に自らのすべてをかけるほど、われわれの心を満たし、われわれをわれわれたらしめることはないという確信だ。
男性や女性、あらゆる人種、あらゆる信仰をもつ人びとがこの壮大な場所に集まり、60年前には地元のレストランで食事をすることも許されなかった父を持つ男が、最も神聖な宣誓を行うためにあなた方の前に立っている、これがわれわれの自由と信念の意味だ。
6.未来の世代へ自由を
われわれの子孫に言い伝えられるようにしようではないか。試練の時、われわれは旅を終わらせることを拒み、後戻りすることも、くじけることもなかった、と。
われわれの子孫に言い伝えられるようにしようではないか。試練の時、われわれは旅を終わらせることを拒み、後戻りすることも、くじけることもなかった、と。
そして、地平線と神の慈しみをしっかりと見つめ、自由という偉大な贈り物を運び、未来の世代に無事に届けた、と。
【参考】
(1)「オバマ大統領就任演説全文」、読売新聞13面、2009年1月22日号
(1)「オバマ大統領就任演説全文」、読売新聞13面、2009年1月22日号