昨年後半、米政府はビッグスリーの経営悪化で公的資金注入してきたがGMの新たな公的資金注入追加要求に対し、米政府は経営再建計画の見直しを求めていました。そして、経営破綻が現実味を帯びてきた3月4日、ダウ平均株価は12年振りの最安値6594.44ドルになりました。(3月6日、日経平均株価:7173.10円)
しかし、以前、物の本に製品の部品数について家電は数百から数千点、自動車は数万点、旅客機・ロケットは十万点以上とおぼろげながら思い出し、「部品点数×販売台数」を考えると自動車産業は圧倒的に他の産業を引き離すことが分かります。それら個々の部品製造に携わっている企業の数、周辺産業の数、従業員、関連する人々も獏大で、経済に及ぼす影響は膨大になるということが想像できます。
新聞によるとフォードの従業員の平均賃金は、時給71ドル(約6,400円)で、日本メーカーの49ドル(4,400円)の1.3倍でGMもこれと同等かそれ以上と想像します。そして、GM従業員の医療保険費用は、自動車1台当たり1500ドル(13.5万円)で、トヨタの約8倍と手厚い福祉を提供しています。従業員26万6000人(2008年)に対しての費用を考えると場合により、これだけで会社が傾く可能性があります。
国民健康保険制度がないアメリカ社会は医療保険補助が削減されると従業員とっては高額の費用負担を強いられることになり、労働組合が会社側の削減要求を拒否してまだ決着がついていません。責任をとってGMのリック・ワゴナー会長兼CEOは辞任しました。
4月8日、GMは5月末のアメリカ政府への提出期限までに経営再建計画見直し課題を克服できない場合、「破産法の適用を選択せざるを得なくなり、そうした適用を申請する用意がある」と述べ、自主再建を断念して、連邦破産法11条(民事再生法に相当)に基づく更生手続きに入ることも考えると発表しています。
しかし、アメリカの経済状況において幸いなことに3月4日のようなダウ平均株価の大幅な下落はなく、3月上旬より少しづつ上昇傾向が続いています。
そんな、アメリカ経済の状況にオバマ大統領も4月15日、ワシントンD.C.のジョージタウン大学で、アメリカ経済は今後も厳しい経済環境は続くが「希望の兆しが見えはじめている」と演説しました。
そして、公的資金注入し、金融機関救済を図ることにより、注入した金額以上の経済成長効果が期待できるとして政府の金融機関の不良資産買い取りなどの資本注入の理解を求めました。
そして、公的資金注入し、金融機関救済を図ることにより、注入した金額以上の経済成長効果が期待できるとして政府の金融機関の不良資産買い取りなどの資本注入の理解を求めました。
私は世界的金融危機の原因を作った中枢にいた幹部が巨額の退職金を受け取り、道義的責任を感じないのか、また、アメリカのメディアや社会の中流以上の人々が声を大にして非難しないのはなぜだろうと不思議に思いましたが、よく考えると、退職金授受の契約、GMの医療保険費用の会社側と労働組合との契約など、やはり、アメリカは徹底した契約の上に成り立っている国だと改めて考えさせられました。
アメリカ社会の考え方は正義と契約は同等と考え、ヨーロッパのように騎士道にみられる「ノーブレス・オブリージュ」や日本の武士道に見られる「義」という考えはないように感じました。
武士道