韓国大統領選を制したブルドーザと呼ばれる男「李明博(リ・ミョンバク)」氏

イメージ 1

12月19日行われた韓国大統領選は保守系野党、ハンナラ党の前ソウル市長の李明博(リ・ミョンバク)氏(66歳)が当選しました。与党「大統合民主新党」の鄭東泳氏(チョン・ドンヨン)(54歳)は敗れ、10年振りに保守政権が誕生することになりました。

 

李明博(リ・ミョンバク)の父親は日本統治下時代に朝鮮半島からで日本に移住しました。彼は大阪で生まれ、終戦後の1945年、4歳の時に日本統治から解放された韓国に父親とともに帰国しました。暮らしは貧しかったが優秀で夜間高校から名門「高麗大」に入り、1964年の朴正煕(パク・チョンヒ)政権の日韓国交正常化に反対し、6か月間服役しました。

 

卒業後、当時わずか98人だった現代建設に入社し、「漢江(ハンガン)の奇跡」の経済成長の波に乗り、手腕を発揮、創始者の鄭周永(チョン・ジュヨン)の目にとまり、29歳で重役、35歳で社長、46歳で会長になり、「最も成功したサラーマン」として本やテレビドラマ化されました。

 

漢江(ハンガン)の奇跡
 yaseta.hateblo.jp

 1992年現代建設会長から政界に身を転じたときには、なんと従業員17万人という韓国有数の大企業になっていました。

 

李明博(リ・ミョンバク)はソウル市長だった5年前の2002年、市内の高速道路が舗装で塞いでいた清渓川(チョンゲチョン)を回復する事業を発表しました。道路沿いの商店街、運輸業者、通勤者などから激しい反対を浴びました。しかし、商店には粘り強い説得交渉で移転させ、運輸業者、通勤者の激しい抗議に屈せず、2005年に完成させました。

 

いまでは、清渓川は自然復元のシンボルとなり、観光客が集まり、街は活気を取り戻し、交通網の改善で交通事情が以前より良くなったと市民から称賛の声があがりました。彼はソウル市役所業務を抜本的に改革し、その障害に立ち向かう姿勢と決断力についたあだ名は「ブルドーザー」でした。

 

この8月20日ハンナラ党の大統領予備選挙では朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の長女でハンナラ党朴槿恵(パク・クンヘ)党代表を僅差で破り、党公候補に選出され、そして、今回の大統領選挙で第17代韓国大統領に当選しました。

 

日本同様、原油など原材料の価格高騰で厳しくなっている韓国経済の立て直しを公約にしていますが、難問山積みのうえ、李明博(リ・ミョンバク)自身の不正蓄財の疑惑が上がっています。

 

しかし、ブルトーザーのあだ名のとおり、障害に屈せず、難問に挑戦し、漢江(ハンガン)の奇跡をもう一度もたらして欲しいと韓国国民は期待しているようです。

 

【参考】
(1)読売新聞「韓国大統領に李明博(イ・ミョンバク)氏」記事、2007.12.20
(2)ニューズウィーク日本判 Newsweek「大統領をめざす李明博の正体」2007.9.5