世界が認めた京大山中教授の新型万能細胞の開発

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2007年11月に京都大学再生医科学研究所の山中伸弥教授のチームが病気の治療に新型万能細胞の開発に成功したとNHKテレビニュースで報道され、同時にフランスでも「病気の治療に役立つ大発見である」伝えているテレビニュースを紹介し、世界中が注目していることを伝えました。

 

山中教授が発表した論文は11月20日正午に米国科学誌「Cell」のオンライン速報版で発信され瞬く間に全世界に伝わりました。

 

その後、どの番組でも山中教授の新型万能細胞(iPS細胞:induced Pluripotent Stem cell、人工多能性幹細胞)を取り上げ、ノーベル賞級の業績の話題で持ち切りでした。

 

2004年にソウル国立大学獣医学教授ファン・ウソク(黄禹錫)のチームがヒト胚のクローンからES細胞(胚性幹細胞)を取り出すことに成功したと発表して世界を驚かしましたが、2005年ES細胞作製成功は捏造だったことが発覚し、大騒ぎになりました。

 

ES細胞から作られる細胞は受精卵を壊して作るため倫理的に問題があり、アメリカでは反対のデモが相次いでいますがiPS細胞は自分の皮膚の細胞を採取して細胞を作り、神経、筋肉、肝臓など内臓をつくることができ、倫理的問題をクリアするため、バチカンローマ法王庁も重要な発見であると言っています。

 

山中教授は11月26日にはドイツがん研究センターからがん研究で成果を上げた人に贈られるマイエンブルク賞を授与されました。

 

山中教授のもとに病気で苦しむ人からの問い合わせが殺到しているそうですが実用化するまでにはまだ解決すべき課題が多くあり、数年待つ必要があるそうです。

 

豊富な人材と研究費を持つアメリカの研究チームは山中教授にリードされたが、実用化は我々とばかり、猛スピードで追い上げているそうです。

 

山中教授も日本の京大だけの20人のチームと現状の研究費ではアメリカなど世界の研究チームに負けてしまうと政府に協力要請し、オール日本チームを作る必要があるとテレビのインタービューに答えていたことが印象的でした。

 

再生医療技術】

 

幹細胞:病気などで弱った臓器や組織を再生する医療に利用される細胞で様々な細胞に変化できる「多分化能」と「自己再生機能」を持つ。

 

幹細胞は2種類に分けられる。
(1)全能性幹細胞:いわゆる万能性細胞で体を構成するすべての細胞に分化できる。ES細胞やiPS細胞など。

 

(2)組織幹細胞:特定の組織・臓器に限って分化する。骨髄移植で使われる造血幹細胞や神経幹細胞など

 

【参考】
(1)読売新聞「東京テクノ・フォーラム21」記事、2007.12.21