石油の歴史No06「ガルフとテキサコの誕生」

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【ガルフの設立】
1893年メキシコ湾とつながるサビン湖の港町、テキサス州ボーモントの町の丘のスピンドルトップでパティロ・ヒギンズは小規模な石油を掘り当てました。さらに、ヒギンズは共同採掘者を募り、応募したアンソニー・ルーカスと石油探鉱の契約を結び依頼します。

1899年からルーカスは掘削を続けますが失敗し、ジャームズ・ガフィーに援助を依頼します。
ガフィーは石油の臭いを嗅ぎ付け発見する驚くべく才能を持った「真の山師」ジョン・ゲイリーとともに掘削を始めます。

1901年1月10日、掘削中のルーカス油井から泥水が噴出し始め、深い地響きとともにガスが吹き出て、次に重い緑の液体の石油が轟音とともに噴出し、1日7万5000バーレルにも達しました。
テキサス州の石油産業の劇的な始まりです。
このニュースはアメリカ中駆け巡り、5万人もの人々が押しかけたといわれました。

ピッツバーグのトーマス・メロン判事は26歳の長男アンドルー・メロンに家族経営の銀行をまかせます。弟のリチャード・メロンとともにこの銀行をアメリカの大銀行の一つに成長させました。
メロン兄弟はただちに甥のウイリアム・メロンに命じ、ガルフ製油会社を作り、石油事業に乗り出します。
1901年、メロン一族はガフィー石油会社とガルフ製油会社を再編成し、ガフィーを追い出し、アンドルー・メロンが会長、リチャード・メロンが財務担当重役、ウイリアム・メロンが副会長に納まり、1901年ガルフ石油会社を設立します。

その後、ウイリアム・メロンは社長と会長を長年勤め、世界の主要石油会社(メジャー)7社通称セブンシスターのひとつに数えられるまでに成長します。

【テキサコの設立】
1897年ジョゼフ・カリナンはテキサス州ボーモントにテキサス燃料会社を設立します。
カリナンはニューヨーク皮革会社USレザーのオーナーのルイス・ラファムとシカゴの銀行家ジョン・ゲーツから事業資金提供を受け、スピンドルトップの土地を手に入れ、優秀な掘削工ウォルター・シャープ命じ、掘削を始めます。

1902年カリナンはテキサコを設立します。
1913年カリナンの独裁的会社経営は重役と対立を招き、ニューヨークの株主総会でカリナンを拒否する評決がだされ、会社を追われました。
そして、ルイス・ラファムやジョン・ゲーツの後押しを受けたウォルター・シャープ達が経営を引き継ぎます。
その後、テキサコはガソリンと潤滑油などの新しい時代の需要増加により、生産・販売も急速に成長していきました。

【シェルのアメリカ進出】
1907年ロイヤル・ダッチ社とシェル社は完全合併し、ロイヤル・ダッチ・シェルになり、この時点では、世界の石油市場はスタンダード・オイルロイヤル・ダッチ・シェル通称シェルによって支配されることになりました。

1910年スタンダード・オイルは新規会社シェルを1億ドルで買収を提案しますがシェルは不快感を表し、拒否します。
スタンダード・オイルはヨーロッパ市場で捨て身のダンピングをかけますが、デターディング率いるシェルは確実にシェアを伸ばしていきました。

逆に1912年、ディターニングはスタンダード・トラストの本拠地アメリカに進出し、西海岸でスマトラ産ガソリンを販売し、カリフォルニアとオクラホマに油田を買い入れたのです。

 

 yaseta.hateblo.jp

【参考資料】
1.「石油の世紀」上、ダニエル・ヤーギン著、日高義樹、持田直武訳、日本放送出版協会、1991年発行
2.「オイル・ビジネス」リチャード・オコーナー著、富岡隆夫、三露久男訳、(株)サイマル出版会、1972年発行