石油の歴史No05「灯油に代わる新しい市場」

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19世紀の末まで、夜の明かりは灯油か、ガスか、ろうそくでした。しかし、1882年アメリカでエジソンは電気による照明を商業化して発電事業を始めます。

この技術革新で世界が変貌します。電気はすばらしい光をもたらし、新しい時代の幕が明けられたのです。

電気の新技術はすぐにヨーロッパにも伝わり普及していきます。この急速な電気の普及で石油産業は大きな市場を失い、重大な打撃を与えるかにみえました。
確かに、照明用としての石油の市場は失なわれましたが、その代わりとなる市場が現れました。それは“馬無し馬車”、すなわち、自動車でした。

1895年頃。アメリカ、ヨーロッパでは“馬無し馬車”は野心的な実業者の心をとらえました。デトロイトエジソン照明会社の主任技師ヘンリー・フォードもその一人でした。

1896年、彼は会社を辞め、ガソリンを動力源とする車を自力で設計・製作しフォードと名前を付け販売しました。
ヨーロッパ、アメリカでガソリン車は増加してきて、1905年までにガソリン車は蒸気や電気との競争に打ち勝ち、自動車として新しい分野を確立しました。

フォードは大量生産に適合した新型車の開発を1907年初めから開始し、1908年10月に伝説の車となる「T型フォード」が市販されました。

そして、爆発的に売れ出し、1909年の1年間だけでも1万台を越える「T型フォード」が生産され、当時としては桁外れのベストセラーになります。

生産管理における大量生産システムを初めて確立したT型フォード生産方式は今でもその偉業を語られています。

ガソリンはそれまで使い道のない産物でしたが、自動車の普及につれ、その価値は一変します。さらに、ガソリンとともに石油の新しい用途も増えてきました。そして、逆に、石油の確保が問題になってきました。