反欧米の多いイスラム世界でドバイは欧米以上に欧米化を推進?

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最近、砂漠の都市国家ドバイの驚異の発展振りを伝えるニュースや旅行会社の宣伝が目立ってきました。(ドバイ首長国は7つの首長国からなるアラブ首長国連邦のひとつです。)

 

現在の世界一高いビル「台北101」の高さ509mをはるかにしのぐ800m以上と言われている「ブルジュ・ドバイ」(建設後「ブルジュ・ハリファ」と改名)が2008年完成目指して建設中であり、気温50度にもなるこの地にスキー場を開業、世界最大級のショッピングモール、超高層ホテル、大規模な港湾施設、5km四方の海をヤシの木状に埋め立てた人工島の建設、大規模の高級1の開発など桁外れの規模で次々実施されているとテレビやビジネス雑誌でも取り上げています。

 

現在、ドバイは中国の経済成長8%の2倍近くの16%で経済成長しており、成功に導いているのは首長の「シェイク・ムハンマド」(57歳)で、アラブ世界ではサウジ・アラビアを建国し、近代化を推進した初代国王「アブドル・アジズ」(1880年~1953年)以降、最も影響のある人物であると言われています。

 

彼は企業の経営者のようなやり方で国を運営し、企業に有利な法制度をつくり、インフラを整備し、新しい解釈のイスラム金融を利用し、莫大なオイルマネーをドバイに投資させることに成功したのです。そして、ドバイ経済は石油収入による成長をしのぐ大きさで経済成長しています。

 

イスラム金融方式と巨額なオイルマネーで経済成長を始めた中東諸国

yaseta.hateblo.jp

【驚異の不動産開発】

 

パーム・ジュメイラ
椰子の木の形をした直径5kmの人工島の第1号。幹の中心にモノレールが走り、モノレールの両側にはマンション群やショッピングモールが並び、椰子の葉っぱ部分に4000軒もの高級な一戸建て住宅や別荘が建設されました。700万ドル~3000万ドル(8400万円から36億円、1ドル120円)もする住宅は、売り出しからわずか72時間で完売したそうです。

 

パーム・ジュベル・アリ
椰子の木の形をした第2号の人工島で第1号より大きく、現在、建設中

 

パーム・デイラ
第3の人工島パーム・デイラは、第1、第2より大きく、総面積は東京の山手線の内側よりも大きく、現在、建設中

 

ザ・ワールド
300の島から成り、飛行機から眺めると全体が世界地図の形になっている人工の群島。すべての島が販売され、1島平均の価格は3000万ドル(36億円、1ドル120円)

 

【経済成長の影に危惧される環境・労働問題】

 

このような急激で大規模な開発ラッシュはいろいろな悪影響も出始めておるようです。

 

アラブ首長国連邦の国籍をもつ人は8人に1人でそのうち6割が南アジアからの出稼ぎ労働者で劣悪な建設現場やその他の職場で働いており、死亡事故も増大しています。

 

大規模な人工島の建設による環境破壊が進み、生態系に悪影響が出始めているそうです。

 

そして、世界中から密輸業者やマフィアなどが集まりはじめ、銃やダイヤや人間まで売買する闇の世界も形成しつつあると言われています。

 

【参考】
(1)「砂漠に咲いた夢 ドバイ」NATIONAL GEOGRAPHIC、2007年1月号、日経ナショナルジオグラフィック
(2)「驚異のイスラム」週間ダイアモンド、2007年3月24日号、ダイヤモンド社