世界金融危機の津波に襲われた砂漠の近未来都市「ドバイ」

 

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金融危機の発生
 
優良企業の筆頭トヨタ自動車も当初6000億円の予想営業利益が一転1500億円の営業赤字に陥るなど日本の他の企業の業績も軒並みに悪化して、派遣労働者の解雇や正規社員のリストラをする企業が次々と現れています。

 

急激な円高で輸出産業は大損害を被っており、海外投資家は日本株を手放し、売り越し続いて、同平均株価より日経平均株価をさらに下落させて日本経済を圧迫しています。

 

WTI原油価格は今年7月史上最高の140ドル以上をつけましたが今週、最高価格の三分の一の40ドルさえも割ってしまいました。

 

経済の専門家は本来ならば原油価格の下落はプラスになるはずが急激な景気後退に追随できず、ともに悪化していると解説しています。

 

日経平均株価とダウ工業平均株価(10/13)
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株価と原油価格と為替の推移(10/17)
 

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石油収入の増加で巨大なオイルマネーで繁栄を続けていた中東諸国も経済悪化しています。

 

過去5年間で中東産油国は総計90兆円を投じ購入した海外資産もこの金融危機の影響で巨額な損失を出しています。世界有数の投資家サウジのアルワリード王子は今年1年で総資産の2割、4000憶円の損失を出しました。(*1)

 

現状の原油価格がさらに続けば三分の二以上の中東産油国財政赤字に転落してしまうと伝えられています。

 

金融危機が発生する前には人口わずか148万人のアラブ首長国連邦の一つである「ドバイ」に世界の建設機械の3割が集まり、海を埋め立て世界地図や椰子の木をかたどる巨大な人工リゾート島、超高級住宅、アメリカマンハッタンを思わせる高層ビル群、超豪華ホテル、桁がずれのショッピングセンターなどがいくつも巨大プロジェクトを推進していました。

 

ドバイは石油収入が国家財政の25%でそれほど多くないことと石油の枯渇に備え、1960年代、初代のドバイ首長シェイク・ラーシドは「脱石油化」を目標に都市開発、インフラを整備してきました。そして、その息子、現在のドバイの首長「シェイク・ムハンマド」が引き継ぎ、空前の繁栄を続けてきました。

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12月22日の読売新聞によると、世界的金融危機でドバイの不動産価格も大暴落して海外からの投資も急速に減少しており、巨大プロジェクトも中止や縮小していると伝えています。

 

それに伴い、ドバイの人口148万人の8割を占める外国人労働者が次々と解雇され、財産のほとんどを旅費につぎ込んでドバイにきたインドやバングラデッシュやスリランカなどの労働者は労働条件付き解雇により1ヶ月~6か月で職が見つけなければビザが失効し、国外退去になるが、帰る旅費もなく、生活にも困りつつあるといいます。

 

中東の金融・ビジネス・観光のセンター構想の実現もしばらく休憩せざるを得なくなりそうです。800mを超える世界一高いビル「ブルジュ・ドバイ」を建設中ですが、予定通り、2009年に完成できるのか気になります。さらに、今度は1000mを超える超高層ビルの建設を計画していますが次々と常識を超える塔の建設が神の怒りを買い頓挫した「バベルの塔」のようになって欲しくないと思います。

 

【参考】
(*1)「週刊ダイアモンド新年合併特大号」、第97巻1号(株)ダイアモンド
(*2)「ドバイ解雇の波」読売新聞、12月22日号、読売新聞社