人は外見も大切であるという話

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この間テレビの健康番組で、被験者の外見から年齢を当てる実験をしていました。

被験者は全て20歳代の男女なのに50歳~60歳に見られる人がおり、その理由として顔の表情、姿勢、皮膚の色、つや、皺、髪の具合、服装、姿勢などを挙げていました。

また、昨年、出版されベストテン入りした「人は見た目が9割」(*1)とういう本では、言語以外の情報すべてを「見た目」と表現し、「見た目」の威力は強力であると述べています。

テレビの出演者や選挙の立候補者は適切な服装や化粧を施し、外見を良くし、人に好印象を与えるように努めていますし、健康番組では好印象を与える顔の筋肉の鍛え方や背骨の矯正法や歩き方などを提案していました。

今でこそ、ビジネスマン用のワイシャツや背広は種類も色も豊富にあり、外見も大切であると認識されていますが、30年前の日本のビジネスの世界では、「人は外見ではない、外見より内面を磨きなさいそして一般的で人に好印象を与える外見は常識を越えない色、形にすることである」と言われていました。

その常識が今ではイメージダウンになるドブ鼠色や紺でワンパターンのスーツだったような気がします。

1980年頃、アメリカにはイメージ・メーカーというビジネスがあるということを糸川博士が「新逆転の発想」(*2)という本で紹介し、話題になったことがあります。

糸川英夫の柔軟な発想の一つの例(コンドラチェフの波の説の解釈)

yaseta.hateblo.jp


当時、アメリカでは国会議員や企業幹部などはイメージを良くするためイメージ・メーカーに依頼しており、ワードローブ・エンジニア(衣装技師)というのも活躍しているという話でした。

アメリカの会社は社長が一人で副社長が6人位います。そのうちの一人が次期社長となります。
一年後に社長に就任するので一年後までに社長らしくイメージを変えて欲しいと依頼します。

依頼を受けたイメージ・メーカーはこの会社の次期社長はどういう人が一番ふさわしいか社内と社会から調査・分析します。その結果、売上を伸ばす、シェアを拡大する、技術力を上げる、といったことのほか、地域社会とうまくやれる人というイメージが必要であると分析されたとします。

この次期社長は人付き合いが悪いとすると1ヶ月目は会社がある町のロータリークラブライオンズクラブに働きかけ会員にします。そして地域のリーダーと月に1回話しをしやる気をアッピールします。

2ヶ月目はハーバード・ビジネス・レビュー誌に論文を書き、勉強していることをアッピールします。
(ただ、ゴーストライターが彼の代わりに書きますが)

3ヶ月はイメージ・メーカーの社員が彼の家に行き、婦人を3ヶ月間訓練します。3ヶ月間の彼の服装はワードローブ・エンジニアが選びます。

4ヶ月目になるとことばの使い方、体の表現、姿勢、歩き方などを訓練します。

場合により、整形手術をします。社長が若若しいと良い会社と思われるからです。これらの費用はすべて会社が払います。なぜなら、管理職は会社の製品であり、包装材料でもあり、どんな製品でも包装が悪ければ売れないからだと言っています。

また、欠点は部下や妻や子供にいわれるのはいやだが、コンサルタント会社が第三者としていうとなると抵抗感はなくなります。会社のイメージにつながる社長というトップの座につくと個人の小さなマイナスでも決定的に強く出てくるのです。

小さいときから才能があると、大人になり、トップになるとマイナスの修正を受付ないが、イメージメーカーは欠点を見つけなおしてくれるということで、好評だそうです。

以上1980年頃の話です。

確認していませんが、おそらく、イメージ・メーカーは既に日本に入り、日本にマッチしたやり方に改良され、コンサルタント会社に名を変え、実施されていると思われます。

【参考】
(*1)「人は見た目が9割竹内一郎著、新潮新書、新潮社、2005.10
(*2)「新逆転の発想」糸川英夫、プレジデント社、1981.10
戦時中、戦闘機「隼」、戦後、カッパーロケットなどの国産ロケットを開発した人