愛国心について

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150日間におよぶ通常国会も本日6月18日で終わりました。夏の参院選がない年に会期を延長しないのは小泉政権では初めてだそうです。

今国会では、行政改革推進法や医療制度改革関連法は成立しましたが、教育基本法改正案や憲法改正の手続きを定める国民投票法案、「共謀罪」を創設する組織的犯罪処罰法改正案など重要な法案は継続審議となりました。

教育の理念と目的を定めた「教育基本法」の改正案は、特に「愛国心」を巡る表現が最大の争点になって、激しく議論がぶつかり、一致が見られず、成立しませんでした。

愛国心

①政府の改正案

 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と 発展に寄与する態度を養う。

民主党

 日本を愛する心を涵養し、祖先を敬い、子孫に想いをいたし、伝統、文化、芸術を尊び、学術の振興に努め、他 国や他文化を理解し、新たな文明の創造を希求する。

民主党鳩山幹事長は政府案の愛国心に心がなくても態度だけ示せばよいのかと質問したのに対し、小泉首相は態度は心と一体として養われると答えています。

理念の次にくる項目さらにそれら項目をより具体化した項目を提示してもらえば理解できると思いますが、両案ともその道の専門家を交え、作成したものなのでどちらが「教育の理念」として優れているか私はわかりません。

藤原正彦氏は「国家の品格」でこう述べています。  

yaseta.hateblo.jp

日本人が持つ情緒のひとつに「懐かしさ」があり、第一が家族愛、次に郷土愛、次に祖国愛、最後に人類愛と言っており、最初から祖国愛を教えるのではなく、先ず家族愛から教えていくべきであると言っています。

著者は明治になってつくられたであろう愛国心ということばはナショナリズム国益主義)とパトリティズム(祖国愛)の両方が流れ込んで混乱を招いているので愛国心を使わず、祖国愛を使うと言ってます。

この記述は理念の次にくる項目であり、理念の次にくる項目は国会で審議すべきものでないと言われるかもしれません。そうだとすれば、「理念は政府案、民主党案どちらでも良い」というのは凡人の考えなのでしょうか。

【日本人が持つ情緒】
1.自然に対する感受性
   自然への繊細な感受性を源泉とする美的感覚が日本文学、茶道、華道、書道など優れた芸術を生む
2.変質した無常観
   儚く悲しい宿命を共有する人間同士の連帯、そして不運な者への共感
3.もののあわれ
   人間の儚さや悠久の自然の中で移ろいゆくものに美を発見してしまう感性
4.懐かしさ
   日本人の郷愁からくる情緒である。第一が家族愛、次に郷土愛、そして祖国愛、最後に人類愛