幻の盧溝橋事件の中国共産党発砲説

栄部隊誌01

栄部隊誌02

栄部隊誌03

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義父は明治45年(1912年)生まれで2006年で94歳になります。
敗戦を迎えるまで、義父は「北支那派遣軍特殊情報部陸軍通訳生」として暗号の解読、翻訳の仕事をしていました。

1995年、大東亜戦争終結後50周年記念として「元北支那派遣軍特殊情報部(北京栄弟9440部隊)」の方々が一般の世の人々が知ることのない特殊な経験を後世に残したいと栄部隊誌を作成しました。

義父はこの文集に「盧溝橋事件と新華社電報」という論説を投稿しています。その概要は次のようになります。

敗戦後、組織は解体され連絡網は壊滅したが地方には通信機器と情報班の何人かは残っていました。
1947年(昭和22年)6月22日当時、中国は毛沢東率いる中国共産党蒋介石率いる国民党と内戦のさなかでした。

この日、中国共産党が国民に訴える新華社電報を情報班は傍受しました。内容は「国民党は優柔不断で日本に協力していたではないか。一方、中国共産党は一環して抗日運動を続け、日本帝国主義に勝利したのは我々の業績である」という旨の電文で「中国共産党史」を記述したものであり、下記の章からなっていました。
1.中国共産党の成立
2.二万五千里の長征
3.西安事変
4.盧溝橋事件

yaseta.hateblo.jp

4章に、やがて太平洋戦争につながる日中全面戦争の発端となった盧溝橋事件の原因が打電されており、もし、この電文を日本に持ち帰ることができたなら、中国側が主張している日本軍発砲説をくつがえさせることができるのにと残念でなりません。

以上が投稿した義父の「盧溝橋事件と新華社電報」の概要です。

以下、中国共産党が打電した電文「盧溝橋事件」の原因のくだりを記述します。

日本帝国主義が依然として中国に対する侵略を強行するならば、米英仏ソ聯等の諸国は必ず中国に味方し、援助を惜しまず、遂には世界大戦に発展し、その上、中国民族が日本帝国主義に対し、遊撃戦法を用い、持久戦に持ち込み、勇敢に戦うならば、必ず勝利する事は自明の理であった。
偖、1937年7月7日には盧溝橋近くの竜王廟付近一帯に、国民党政府軍(29軍第110旅第219団第3営)が配置されていた。そして日本軍(支那駐屯軍歩兵第1連隊第3大隊第8中隊)も7月7日竜王廟付近で、無断夜間演習を実施していた。併し中日両軍とも戦闘を交えていなかったが、互いに緊張していた。そこで中国共産党は中日両軍が戦う絶好の機会であると判断し、中国共産党は日本軍に対し、先に発砲し、中日両軍が交戦するように種々の手段を尽くしたのである。

省略

そこで遂に国共合作・一致抗日、中国国民は一致団結し、諸外国の援助の下に遊撃戦法を展開し、持久戦を堅持し、遂に日本帝国主義を打倒し、今日、赫々たる勝利をえたのは、実に中国共産党が、日本帝国主義に対して、先に発砲し挑戦したからなのである。
『この電文はまだ200字余りあるのですが、空界が悪かった故か、通信士が最後迄受信していなかった事を付記して置きます。                                以上

証拠となるこのオリジナルの電文を持って帰れなかったため、大スクープとなるべき記事が逆に偽造ではないかと受け取られかねないことが私も残念でなりません。

【参考】
栄部隊誌は自衛隊の資料室や大学の研究者に配布しているそうです。