2021年6月9日のワクチン接種状況と経済活動再開時期予想

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ワクチン接種率と接種回数グラフ

これまで、4回感染収束の時期を予想してきましたがことごとく外れています。

科学的根拠のない素人予想なので外れて当然ですが、なかなか収束の兆しを見せない新型コロナウイルス感染に気が滅入るので、懲りずに5月20日のブログで5回目の予想「営業制限解除の時期」をしてしまいました。

 

変異ウイルスの出現で感染が増加した2021年4月後半までのドイツの感染パターンは日本と似ていました。

4月後半になるとドイツは、ワクチン接種が遅れている日本と違い、ワクチン接種率が25%に達し、ワクチン接種効果により感染者数が減少に向かいました。

 

接種率がワクチン接種開始日から6%になるまで日本は約3.5カ月(2月17日~5月後半)かかりましたがドイツは約2.5カ月(独12月26日~2月後半)でした。

日本の遅れはワクチンの供給が遅れたことが原因と思われますので同じ接種率6パーセントになった5月後半をスタート地点としてドイツの実績をあてはめ日本の経済活動再開(営業制限解除)時期を予想しました。

 

【経済活動再開(営業制限解除)時期予想】

ワクチン接種率が40~50%になる8月後半~9月前半から段階的に解除

(ただし、ワクチン接種率は1回目と2回目を含めた合計の接種率である。)

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【接種開始と実績】

日本2月17日、ドイツ2020年12月26日

2月後半~5月後半(3.5カ月)0~6%(独12月後半~2月後半,2.5カ月)

【予想】

5月後半~6月後半(1.5カ月)6~15%(独2月後半~3月前半,1.5カ月)

6月後半~7月後半(1.5カ月)15~25%(独3月前半~4月前半,1.5カ月)

7月後半~8月前半(1.0カ月)25~30%(独4月前半~4月後半,1.0カ月)

8月前半~8月後半(1.0カ月)30~40%(独4月後半~5月前半,1.0カ月)

8月後半~9月前半(1.0カ月)40~50%(独5月前半~5月後半,1.0カ月)

 

【5月30日のワクチン接種状況】

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接種回数 : 1,234万回、接種率   :  9.8%

 

6月9日のワクチン接種率は5月30日の9.8%から16.2%と予想より7~10日速いペースで進んでいます。

(5月30日から6月9日までの間に集計遅れの接種回数追加されたが接種体制整備も進みました。)

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2021年6月9日ワクチン接種状況表

ワクチン接種環境がさらに整備されるので、接種率のペースは高め定常化推移が期待され、収束のための「氷の壁」である感染者1,200人(国内)および250人(東京)の氷を砕き、春(収束)に向かうことを期待したいと思います。

 

【蛇足】

私がワクチン接種(65歳以上の高齢者)の予約を取れた期日は7月27日でした。

しかし、6月7日の朝のニュースで自衛隊大規模接種東京会場(大手町合同庁舎3階)のワクチン接種が可能あることを知り、その日の11時申込み受付開始と同時にパソコンで申し込んだところ、混み合い10分ほど待ち、6月14日9:00接種に予約できました。その後、野田市での予約をキャンセルしました。ワクチンはモデルナ社でした。

妻は6月10日にファイザー社のワクチンを接種しましたが注射された感覚は少し違ったが通常のインフルエンザ注射と大きな違いはなかったと言っていました。

2021年5月30日の国内ワクチン接種状況

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1日&累積ワクチン接種回数_210530

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日本ワクチン接種率推移_210530.jpg

2021年5月29日現在、国内の新型コロナウイルスの1日感染者数(新規感染者)は5月中頃から減少していますが、感染力の強い変異ウイルスの影響でいつ拡大に転じてもおかしくない不安定な状態が2週間以上続いています。

1都2府7県は「緊急事態宣言(ステージ4相当)」(6月20日まで適用)状態にあり、8県は「まん延防止等重点措置(ステージ3相当)」(6月20日まで適用)状態にあります。

 

やはり、頼みの綱はワクチン接種です。

5月30日現在、国内のワクチン接種状況

接種回数 : 1,234万回

接種率   : 9.8%

国内のワクチン接種実績は数日おきに首相官邸ホームページで発表されるのでワクチン接種実績グラフを作り、接種日程と接種回数・接種率・感染者数などを経過観察しながら、経済活動再開の時期がいつになるのか確認したいと思います。

 

【日本の営業制限解除の期日予想】

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2021年1月末から5月30日までのコロナウイルス感染状況と対策について

 

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日本東京大阪1日感染者数グラフ_210530

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日本東京1日感染者数推移グラフ_210530

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緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の比較表

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日本東京コロナ1日死亡者数推移グラフ_210530

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日本東京コロナ累積感染者数推移グラフ_210530

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日本東京累積死亡者数推移グラフ

東京・大阪・全国の感染状況を見ると1月中から2月末に感染減少が続きましたが、その後減少が止まり、感染高止まり状態が3月まで約1カ月続きました。

 

首都圏1都3県は3月21日に緊急事態宣言を解除しましたが感染は減少せず、3月1日に解除した関西3府県では3月中頃から新たなイギリス型の変異ウイルスが発見され、徐々に従来型から感染力の強いイギリス型に置き換わり、猛威を振るい出し始めました。

 

大阪は3月中頃、1日の感染者70~100人程度が急激な増加に転じたため、4月5日「まん延防止等重点措置」を適用しましたが、止まらず4月中頃には1000人まで急拡大しました。

 

(「まん延防止等重点措置」:大阪、兵庫、(宮城)に4月5日~5月5日の1カ月間適用)

(「まん延防止等重点措置」:東京、京都、(愛媛)、沖縄に4月12日~5月11日の1カ月間適用)

カッコ付の都道府県は措置終了、他は非常事態宣言に切替わる(5月29日現在)

 

大阪は4月中~5月初めまで1日感染者1000人で小康状態を保ち、その後減少に転じますが入院率、重症化率、病床使用率が高く、深刻なレベル(ステージ4)と医療体制がひっ迫しているため、4月25日に緊急事態宣言に切り替えました。その後、延長、5月24日に、さらに6月20日まで延びることになりました

 

「緊急事態宣言(ステージ4相当)」を1都2府7県に6月20日まで適用(5月29日現在)

(①東京、大阪、兵庫、京都に4月25日~5月11日の2週間適用、5月12日から5月31日まで延長、さらに6月1日から6月20日まで延長)

(②愛知、福岡に5月7日~5月31日、6月1日~6月20日)

(③北海道、岡山、広島、沖縄に5月16日~6月20日)

 

東京は3月初め、1日の感染者200~300人から増加傾向にあり、4月12日、「まん延防止等重点措置」、を適用しますが止まらず、5月初め800~900人まで増加しました。

これをピークに5月10日頃から減少に転じていますが新規感染者数の減少幅が小さく、入院率、重症化率、病床使用率は厳しい状態が続いているため、ステージ3ではあるが4月25日に緊急事態宣言に切り替えました。その後、5月31日まで延長、さらに6月20日まで延長することになりました。

 

「まん延防止等重点措置(ステージ3相当)」を8県に6月20日まで適用(5月29日現在)

(①埼玉、千葉、神奈川:4月12日~5月31日、6月1日~6月20日)

(②岐阜、三重、(北海道)に5月9日~5月31日、6月1日~6月20日)

(③群馬、石川、熊本に5月16日~5月31日、6月1日~6月20日)

カッコ付の都道府県は措置終了(5月29日現在)

 

国内や大阪と比べると東京の新規感染者(1日感染者数)の減少幅は5月22日から小さくなり、減少曲線がゆるやかになっています。

緊急事態宣言やまん延防止等重点措置など国・自治体の対策や国民の予防・行動自粛対策に限界が来ているようにも思えます。

 

現在(5月27日)、国内ワクチン接種率は8.9%(首相官邸ホームページ)です。

5月24日から東京・大阪・兵庫は自治体よるファイザーワクチン接種に加え、自衛隊による大規模なモデルナワクチン接種が始まっています。政府は大規模接種を他の都市にも増やし、さらに、産業医による企業関係者の接種も始める検討をしています。

 

国を挙げての接種体制が整えば6月末~7月末ワクチン接種率は15~25%は実現でき、1日感染者数が現在の600人から300人以下を突破できそうな気がします。

そうなれば、ワクチン接種率が上がるにつれ、1日感染者数も減少し、9月中頃にはワクチン接種率が50%を超え、感染は抑制方向に向かい、営業制限や行動自粛が解除されることになります。

実現を期待したいと思います。

【日本の営業制限解除の期日予想】

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2021年5月20日現在の各国ワクチン接種割合とコロナ感染状況

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各国新型コロナウイルスワクチン接種状況(2021.5.20)

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各国コロナ1日感染者数表_210520

【各国の新型コロナウイルスの感染状況】

ワクチン接種割合が進んでいるEU、アメリカは変異型ウイルスによる感染はあるものの全体として抑制されており、減少傾向にあります。

そして、飲食店や小売業の営業制限や市民のマスク着用義務も解かれ、活気が戻っています。 アメリカの4月小売業の売り上げが急上昇しているそうです。

 

人口1千万人のスウェーデンはロックダウンせず、集団免疫を獲得する対策で12月後半、1月前半まで高い数字の感染者を出していましたが12月27日よりワクチン接種を開始し、その後、上昇は止まり、高止まりながらも徐々に減少して、5月に入り、感染者数は日本と逆転しました。

 

感染力が強い変異ウイルスが発生したアジア、アフリカなどの多くの国々はワクチン接種割合が低いこともあり、感染拡大と重症化の増加が続いています。

ワクチン接種割合の低い日本は日本全体・東京・大阪では一日当たりの感染者数は減少傾向にありますが重症化数は増えており、沖縄・北海道など地方の一部は感染増加と重症化数は増えています。そして大阪や一部地方では医療機関の圧迫が続いています。

インドは宗教行事の祭りを許可するという緩和策を取ったため急激に感染が拡大し、5月後半になっても拡大が続いています。

 

日本は5月後半より、全国的に65歳以上のワクチン接種が始まりました。 さらに、現在感染増加中の大都市東京と大阪でワクチン接種割合を増加させ、早急に集団免疫を形成するため、大規模ワクチン接種センターを設置して5月24日から集団接種を開始します。

 

3月前半から変異ウイルスの出現で感染が増加した3月前半~4月前半までのドイツやスペインの感染パターンは日本と似ています。しかし、ワクチン接種率の高いドイツは感染が抑制され、減少しているのに対し、ワクチン接種率10%満たない日本は4月後半から現在の5月後半になっても重症化率は高く、医療機関は厳しい状況が続いいます。

 

ドイツとスペインは1回ないし2回の接種含めてワクチン接種率が15~25%の3月前半~4月前半まで変異ウイルスにより感染者が増加しましたが、ワクチン接種率が25~30%の4月前半~4月後半になると変異ウイルスによる感染増加を抑え止まり、減少が始まり、ワクチン接種率が30~40%になった4月後半~5月前半に減少が続き、ワクチン接種率が40~50%になった5月前半~5月後半から徐々に飲食店や小売業のなどの営業制限が解かれ始めています。

 

【日本の営業制限解除の期日予想】

日本の営業制限解除の超概略の期日を予想してみます。

【前提条件】

①.ワクチン接種環境は同程度とします。

②.ワクチン接種率と感染増減の関係はワクチン接種割合が低い時の変異ウイルスによる感染パターンが似ているドイツ並みとします。

③.日本のワクチン接種率6~7%は5月後半~6月前半の値とします。

(日本6.3%は5月20日(独2月後半)における実績(初期値)です。)

(7%は6月前半の値とします。(5月26日追加修正))

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【予測】

ワクチン接種率15~25%になる予想時期は6月後半~7月後半(独3月前半~4月前半)で変異ウイルスによる感染増加は続くと思われます。

ワクチン接種率25~30%になる予想時期は7月後半~8月前半(独4月前半~4月後半)で変異ウイルスによる感染増加が止まり、減少が始まると思われます。

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ワクチン接種率が30~40%になる予想時期は8月前半~8月後半(独4月後半~5月前半)で感染減少が続くと思われますがまだ予断は許されません。

 ワクチン接種率が40~50%になる予想時期は8月後半~9月前半(独5月前半~5月後半)で注意をすれば感染増加の恐れは無くなり、飲食店や小売業のなどの営業制限解除が徐々に始まると超概略予想しました。

(ただし、政府、自治体、民間関係機関の努力と国民の協力により、3カ月半後にワクチン接種率が40~50%になった場合です。)

 

【参考】

(1)「新型コロナウイルス 世界のワクチン接種状況は」、BBC.NEWS.Japan、2021.5.21

(2)「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和3年5月20日版)」、厚生労働省HP、2021.5.20

 

2021年のノーベル医学・生理学賞は2人のmRNAワクチン開発者?

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RNAワクチンの作成と働き

ビオンティック(独)/ファイザー(米)とモデルナ(米)/NIAIDの2つ企業グループはそれぞれ2020年12月にmRNAワクチンの開発・実用化に成功しました。(NIAID : 米国立アレルギー・感染症研究所)

 

そして、2020年4月27日の私のブログにmRNAワクチンの基本技術を開発したのはそれぞれ、ビオンティック(独)と新モデルナ(米)のベンチャー企業であると記述しました。

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しかし、本当の立役者は2005年にmRNAワクチン開発の基となる論文を発表したビオンティックの上級副社長 のカタリン・カリコと免疫学者のドリュー・ワイスマンでした。

 

そして、当時、注目されなかったこの論文の先見性を評価し、支援したのがモデルナとビオンティックとファイザーだったのです。

 

RNAワクチンの接種が開始された2020年12月頃から2021年のノーベル医学・生理学賞の第一候補者としてmRNAワクチンの開発者のカタリン・カリコ、ビオンティック上級副社長(Katalin Kariko、ペンシルベニア大学非常勤準教授) とドリュー・ワイスマン、ペンシルベニア大学教授(Drew Weissman)の2人が話題になっています。

 

カタリン・カリコ氏は1985年、テンプル大学研究員の職を得て、ハンガリーから夫と2歳の娘と共にアメリカに渡り、その後ペンシルベニア大学に移りました。

 

カタリン・カリコ氏は2013年にトルコ移民2世のウグル・サヒンCEOとオズレム・トゥレシ最高医療責任者夫妻と共にドイツのマインツに製薬会社を立ち上げ、研究者兼上級副社長に就任、mRNAワクチンの基本技術を開発し、ファイザーとともに実用化を果たしたのです。

 

【m RNAワクチンの作成と働き】

新型コロナウイルスはCOVID-19のスパイクタンパク質がヒト細胞膜の受容体に付着してヒト細胞内に侵入し、感染します。

 

そこで、COVID -19の毒素を持たぬスパイクタンパク質だけの細胞を体内でつくらせ感染したかのように装い、抗体が働くように仕向けたのがmRNAワクチンです。

 

スパイクタンパク質(細胞)を作るため、COVID-19のRNA(遺伝子)のスパイクタンパク質設計と作成指示の情報部分(設計図)のコピー(mRNA)をつくります。この過程を転写(Transcription)といいます。

 

mRNA (設計図)は非常にこわれやすいため細胞膜に似た保護脂質シェルに入れ、ワクチンをつくります。

 

ワクチンを接種するとワクチン中の細胞はヒト細胞と融合しスパイクタンパク質設計図(mRNA)を放出します。

 

このmRNAは細胞の中でタンパク質が作られる場所(リボソーム)に進みます。

 

細胞中のリボソームはmRNAの設計図を読んでそれに従ってアミノ酸の鎖を編みタンパク質を作ります。

この過程を翻訳(Translation)といいます。

 

このタンパク質が細胞から漏出しスパイクたんぱく質の細胞を形成します。

 

mRNAは体内で分解されワクチン接種を受けた人の遺伝子には組み込まれません。

 

免疫系はこのスパイクタンパク質をCOVID-19に感染したと勘違いして抗体を生成し、撃退します。

 

抗体は真の敵COVID-19の侵入に備えてこの反応を記憶(免疫形成)します。

(抗体:感染症を撃退し免疫をもたらす助けとなるタンパク質)

この記憶があるためCOVID-19に感染すると免疫が働き、抗体が撃退します。

 

【蛇足】

本日、2021年5月6日(木)8時30分から野田市で65歳以上の新型コロナウイルスワクチン接種の予約受付が始まりました。

インターネットで申し込み、妻は6月10日 に予約しました。

私は病院を間違えて予約済みをいったん削除し、新規予約しようとしましたが、7月下旬まで予約済みが続き、ようやく7月27日接種で予約できました。

予約操作時に表示されたワクチンはファイザー社のmRNAワクチンでした。

【参考】

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1.「新型コロナウイルスの画期的なワクチン、9割以上に効果」、BBC NEWS Japan、2020.11.9

2.「特集mRNA医薬が未来を変える」、ナノキャリア株式会社資料

2.「彼女こそ、ワクチン開発の「陰のヒロイン」だ」、岡 ゆづは、NewsPicks編集部 記者、Newspicks.com/new、https://newspicks.com/news/5444075/body/

2020.12.11

3.「化学業界の話題~今年のノーベル医学・生理学賞は確定?~」、

http://blog.knak.jp/2021/02/-mrna.html、2021.2.3

4.「ウイルスの構造とその意味」、京都大学ウイルス・再生医科学研究所教授、朝長啓造、日経メディカル、2020.3.30

5.「COVID-19 mRNAワクチンが働くしくみ」、https://www.snohd.org/ImageRepository/Document?documentId=6074

2020.3.30

驚異のスピードで開発した新型コロナウイルスの画期的なワクチン~ mRNAワクチン ~

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RNAワクチン開発工程図

2020年1月に中国武漢で発生し、世界に大打撃を与えている新型コロナウイルスパンデミックは、2021年4月現在、ワクチン接種が進んだアメリカ・イギリスでは抑制されつつある中、接種が進んでない日本は感染拡大が続いており、2021年4月23日には東京に3回目となる緊急事態宣言が発出されました。

 

日本の最高レベルの研究機関や企業の医療研究者は昨年の早い段階で新型コロナウイルスワクチン開発に乗り出しましたが、医療関係者やコメンテーターはこれまでの常識から使用できるまで少なくとも数年かかり、今回のパンデミックには間に合わないだろうと言っていました。

 

しかし、開発開始から1年も満たない、昨年(2020年)11月9日、アメリカ製薬会社ファイザーとドイツのビオンテック(BioNTech)が共同開発中の新型コロナウイルスワクチンは臨床試験第3フェーズが終了に入り、11月末の緊急使用許可を求め、政府当局に申請するとBBC NEWS Japanは報道しました。

 

ファイザーアルバート・ブーラ会長はこのmRNAワクチンはこれまでに6ヵ国4万3,500人を対象に臨床試験が行われてきたが、有効性は90%以上であることが確認でき、また、安全上の懸念は出ていないとして「世界中の人が待ち望んだ新薬を提供し、この世界的な健康危機を終わらせる大きな一歩だ」と述べました。

 

その頃、アメリカは1日感染者数4万人~5万人と増加を続けており、日本も増加してはいましたが1000人と欧米に比べ低く、日本はワクチンなくとも抑制できると、ワクチンについて全く知識のない私は思い込んでいました。

 

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しかし、その後、一向に衰える気配を見せず感染増大を続けており、新型コロナウイルスの恐ろしさを実感して、ワクチンの必要を認識しました。素人の考え「休むに似たり」でした。

 

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日本政府はその5ヵ月前の2020年年7月にワクチンの確保に動きだし、ファイザー社ワクチンの購入契約を結びました。しかし、既にファイザー社は臨床試験の最終段階である6ヵ国4万3,500人に対する第3フェーズを6月から開始しており、日本は参加することはできなかったと思われます。

 

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ファイザー社のワクチンは11月末に承認され、イギリスでは12月2日、アメリカでは12月11日、EUでは12月21日から接種が開始されました。

 

日本がファイザー社ワクチンの提供を受け、臨床試験第3フェーズを開始したのは3か月遅れの2020年10月で、第3フェーズの治験が終わり、承認されたのは2021年2月14日、接種が開始したのは2月17日でした。

 

ファイザー社とドイツのビオンティック社が開発し、続いてモデルナ社が開発したmRNAワクチンは全く新しい技術で作られた医薬品として注目を集めました。

 

この最先端の新技術はウイルスの遺伝子の中から「ウイルスに対し抗体を誘発するタンパク質を合成」する遺伝子「mRNA」を解読し、それをコピー(転写)してワクチンを作りだす方法を実用化したものです。

 

新型コロナウイルスの遺伝子を解読したのが2020年1月10日で、ファイザーは安全性未承認のまま1月14日にワクチン製造を開始しました。

 

そして、臨床試験第1フェーズは2ヵ月後の3月に開始、その後、第1フェーズと並行して第2フェーズを開始・進行、半年後の6月にはフェーズ3が開始され、10ヵ月後の11月には90%以上の有効性を確認し、安全性についても大きな副作用がないことを確認しました。

 

そして、2020年11月末には異例の措置として緊急使用が承認されました。

 

何よりも医療関係者が驚いたのは開発のスピードです。アメリカの巨額の投資だけではなかったのです。

 

RNAは遺伝子の一部分(サブ設計図)をコピーして作るのでウイルスを不活化、または弱毒化したワクチンなどのウイルス本体を使うワクチンより不純物が少ないようですが、それにしても、まだ臨床試験さえ始まっていなく、有効性も安全性も分からない時点でワクチン生産を始め、12月に接種開始まで数億個の数のワクチンを生産したのです。

 

RNAワクチンは基本技術を持つベンシャー企業ビオンティックが大企業ファイザーに提携を持ち掛け共同開発したものでした。ほぼ同時にこのワクチンを開発したアメリカのモデルナもベンチャー企業でした

 

注目すべきビオンティックはトルコ移民2世の夫婦(夫CEOと妻医療責任者)が経営するベンチャー企業であります。

 

このように、思想が束縛されない自由な土壌に新発想を具体化するベンチャー企業が次々と生まれ、新技術をすかさず受け入れ実用化・大量生産を図る大企業が次々うまれるのは民主主義国だから可能であり、宗教・思想に制限・束縛されるイスラム系諸国の土壌や思想・情報に透明性がなくプーチン大統領習近平国家主席の一言で物事が決まる国の土壌では新発想に基づく画期的技術や製品は生まれにくいと思いました。

「民主主義国はデメリット部分もある」 

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【参考】

1.「新型コロナウイルスの画期的なワクチン、9割以上に効果」、BBC NEWS Japan、2020.11.9

2.「特集mRNA医薬が未来を変える」、ナノキャリア株式会社資料

3.「ワクチン開発、新技術で加速 モデルナも高い有効性」、日本経済新聞、2020.11.18

 

2021年4月15日現在の世界のコロナ感染とワクチン接種状況

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各国新型コロナウイルスワクチン接種状況(2021.4.15)

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米国インド1日感染者数グラフ(2021.4.15)

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英仏独1日コロナ感染者数グラフ(2021.4.15)

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日本スイス1日感染者数グラフ(2021.4.15)

【世界193ヵ国の累計感染状況(2020~2021)】

 日付   累計感染者  累計死亡者

10月30日  4,549万人 119万人人

12月 1日  6318万人 147万人

1月 6日  8,640万人 189万人

2月 3日 10,386万人 225万人

3月 1日 11,407万人 253万人

4月 1日 12,882万人 282万人

4月15日 13,826万人 297万人

 【世界の月毎の1日感染者数と1日死亡者数(2020~2021)】

半月毎の1日感染者  1日死亡者(平均)

11月前半 51万人   7千5百人

11月後半 58万人   9千8百人

12月前半 69万人   1万9百人

12月後半 62万人 1万1千3百人

1月前半 74万人 1万3千9百人

1月後半 57万人 1万3千6百人

2月前半 40万人 1万1千8百人

 

世界の新型コロナウイルスの感染は1月後半から2月後半までゆるやかなに減少してきましたが、2月ごろイギリスで従来型の1.6倍の感染力を持つ変異ウイルスが発見され、感染者が徐々に増加していきました。

2月後半にかけてEU、アメリカに感染が広がり、3月には日本でもイギリス型の変異ウイルスが見つかり、感染が増加してきました。

 

世界の平均1日感染者数は2月後半の38万人を底に、再び増加してきました。

半月毎の1日感染者  1日死亡者(平均)

2月後半 38万人   9千3百人

平均1日死亡者も3月前半の8千8百人を底に増加してきました。

半月毎の1日感染者  1日死亡者(平均)

3月前半 41万人   8千8百人

3月後半 53万人   9千5百人

4月前半 67万人 1万1千2百人

そして4月15日(木)単日の1日感染者は81万6千人、1日死亡者は1万3千5百人と増加が続いている状況です。

 

感染増加止まり、減少傾向にあるとしながらもアメリカは4月に入っても5万~7万人、イギリスは2千5百~3千人の1日感染者を出し続けています。

しかし、ワクチンを1回以上接種した人は4月15日時点でイギリスが61.3%、アメリカは59.3%と人口の半分を越え、安全圏に入ったとして4月2日頃から飲食店など非製造業の規制が解かれ営業活動が再開されています。

 

EU諸国は接種率が現在25%なので、2~3か月先には規制が解かれ、経済は回り出すと思われます。

 

一方、日本はワクチン接種率1.5%と低く、そこに感染力の高い変異ウイルスによる感染が拡大しており、営業活動緩和どころか現在適用されているまん延防止等重点措置よりさらに厳しい緊急事態宣言を再び発出せざる得ない状況に来ています。

 

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米国インド累積感染者数グラフ(2021.4.15)

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米国インド1日死亡者数グラフ(2021.4.15)

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英仏独1日コロナ死亡者数グラフ(2021.4.15)

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日本スイス1日死亡者数グラフ(2021.4.15)

【参考】

(1)「新型コロナウイルス 世界のワクチン接種状況は」、BBC.NEWS.Japan、2021.4.15

(2)「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和3年4月15日版)」、厚生労働省HP、2021.4.15