地球温暖化により北極に領海線問題と北極航路可能性が浮上

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地球温暖化は北極圏にも影響を与えており、TIME誌は2007年10月1日号で「北極は誰のものか」という特集を載せていました。

 

1982年9月に北極大陸を観測した時、海氷は北極圏のほぼ全域を覆っていました。しかし、23年経った2005年9月観測した時は温暖化の影響で海氷が溶け、氷の大陸の面積の10%が失っていると報告されました。

 

氷の溶解は進行しており、このままいくと2040年には実に北極の氷の75%が溶け、大陸は約4分の1になってしまうと報告されていました。

 

北極の氷が溶け、生物の生態系が破壊され、人間や動物の生活に大きなダメージを与える一方、思わぬメリットも出てきました。

 

ひとつは北極の海域や海底に埋蔵されている地下資源が採掘可能になってくること。もうひとつは氷が無くなることで船舶の航行が可能になるということです。

 

北極の石油・天然ガスの埋蔵量は世界の未発掘石油資源の25%の約100億トンが眠っているといわれています。そして、この地下資源をめぐり、アメリカ、ロシア、カナダ、ノルウェーデンマークが獲得競争を始めているそうです。

 

特にロシアは豊富な石油と天然ガスが見込まれるバレンツ海の大陸棚の領海線をめぐり、ノルウェーと争っております。また、2007年8月にはロシアの調査船が北極点付近の海底にロシアの国旗を立て、領有権をアッピールしています。

 

もうひとつはヨーロッパやアメリカがアジアとの船舶貿易ではヨーロッパはスエズ運河をとおり、インド洋経由で、アメリカはパナマ運河を通り、太平洋を横断してきました。

 

これが氷が溶け始めたことで、10数年後(?)に北極航路の開設が現実のものになる可能性がでてきました。

 

TIME誌によると東京・ニューヨーク間はパナマ運河回りの距離が18,200kmに対し、北極航路の距離は14,000kmと4,200km(23%)短縮されます。

 

東京・ロンドン間はスエズ運河回りの距離が20,900kmに対し、北極航路の距離は13,000kmと7,900kmと実に38%も短縮され、運賃も大幅に低下することになります。

 

参考 世界地図

yaseta.hateblo.jp

北極沿いの5カ国の領海線についてはそう関心を示さず、曖昧でもおおきな問題になってきませんでした。しかし、膨大な利益が入ることが現実に見えてきた現在、お互い自分の領土を主張してきました。今後、領土争いは激しくなってくることが予想されます。

 

【蛇足】
マンガ描写の時間短縮を目指し、TIME誌の北極の地図と海氷観測図を参考にブログ用に北極の地図と海氷状態を習いたてのAdobe Illustrator CS3 で作製してみましたが短縮どころか倍以上の時間がかかってしまいました。

 

野田地域職業訓練センター主催のイラストレータ基礎講座を受講しましたが講師の先生、内容ともに良く、受講料も手頃で非常に有意義でした。現在、課題を作製中です。時間短縮できるようになるのはまだまだ先のようです。

 

【参考】
(1)日本経済新聞「今世紀半ば、北極熊3分の1に」記事、2007.9.8
(2)TIME「Who Owns the Arctic ?」記事、2007.10.1
(3)「世界大戦が始まった」、日高義樹、ダイヤノンド社、2007.12.13
(4)読売新聞「新パワーゲーム1 狙いは資源 熱い北極」記事、2008.1.3