2009年1月6日のNHKニュース9で岐阜県畜産研究所と近畿大学の共同研究グループは「岐阜県特産の飛騨牛の元祖と言われる「安福号」の死後、13年間保存した凍結細胞をから遺伝子がまったく同じクローン牛を作ることに成功していた」と伝えました。
2007年に初めてクローン牛1頭の誕生に成功し、その後3頭生まれ、うち2頭が育っており、合計3頭が現在も健康に育っているということです。この研究成果については1月8日の正式に発表したとNHKニュースやTBSのイブニング5で報道していました。
雄牛の「安福号」の冷凍保存していた細胞を培養し、作った精巣の細胞から安福号の遺伝情報を含む「核」を取り出し、受精していない卵細胞の「核」と入れ替えて雌牛に戻し、安福号のクローン牛を作ったということです。
「この技術が確立すれば肉質がよい牛と同じ遺伝情報を持った牛を増やしていくことが可能になる」また、もし、「凍結して生きたマンモスの細胞が発見されればマンモスを誕生させることも夢でなくなるかもしれない」と関係者は話していました。
凍結していた生きた細胞からクローン牛を作るのは画期的な技術であるが体細胞クローン技術を使うと、優れた肉質の牛や乳量の多い牛のクローン牛を作る技術は既に確認されており、2008年9月までで日本国内で557頭の体細胞クローン牛が誕生しているといいます。
このニュースを聞いて、数日前みた「2008年TIMEが選んだ世界の発明品BEST50」の中の40番目にある「新七つの大罪」が浮かびました。
聖書にある七つ大罪
1.憤怒
2.羨望
3.大食
4.矯慢
5.怠惰
6.淫乱
7.貪欲
1.憤怒
2.羨望
3.大食
4.矯慢
5.怠惰
6.淫乱
7.貪欲
新七つの大罪(ローマ法王公表2008年3月)
1.生命倫理の罪
2.胎芽を傷つける不道徳な実験の罪
3.麻薬乱用の罪
4.環境汚染の罪
5.社会的不公正の罪
6.過剰な富をもつことの罪
7.貧困をつくることの罪
1.生命倫理の罪
2.胎芽を傷つける不道徳な実験の罪
3.麻薬乱用の罪
4.環境汚染の罪
5.社会的不公正の罪
6.過剰な富をもつことの罪
7.貧困をつくることの罪
植物に対するクローン技術や遺伝子組み換えの研究・応用は進んでおり、既に遺伝子組み換えの大豆やトウモロコシなどは量産されており、日本では食として安全かという問題の検討に入っています。
動物、特に人間に対するクローン技術の研究・応用は治療として遺伝子操作、ES細胞研究とともに期待されていますが天から与えられた人間の生命を人間自らその領域のどこまで入りコントロールすることがゆるされるのか、また、許される境界線をどこに置くかなど、生命倫理の問題として大きな論議を呼んでいます。
ES細胞と新型万能細胞(ips細胞)について
飛騨牛のクローン牛は良質の肉の確保のための食用として応用研究し、量産をめざしており、日本国内においては問題になっていなく、むしろ奨励されています。
クローン動物が認められれば、このクローン技術は人間の病気治療などにも応用されることになります。一方、クローン技術や遺伝子操作や臓器移植などの実用技術は日々、進歩し、生命の核心に刻々と迫っており、生命倫理の問題は増々、複雑化・高度化・広範囲になっています。
日本人は宗教に基づく生命倫理観が希薄で、人間として、日本人の伝統的倫理観で行動している場合が多く、また、私はクローン技術や遺伝子組み換えの問題についてはまだ、どの部分のなにが問題なのかわかりません。
その点、欧米の多くの人々はキリスト教を信仰し、中絶問題などと同様に宗教的生命倫理観を持って行動します。従って、新七つの大罪の一つに掲げられたことは欧米の人々はこれから日々の生活の中での注意事項として取り入れられることになり、話題になりやすくなります。
そうすれば、クローン技術や遺伝子操作の生命倫理問題が欧米のテレビや新聞で取り上げられることが多くなり、やがて、日本のテレビや新聞でも報道されるようになり、参考・解説記事も多くなるのである程度、理解できるようになるかもしれません。