藤沢周平の原作のNHK木曜時代劇「風の果て」が12月6日最終回をもって終了しました。10月から8回にわたり放送されましたが残念ながら最終回だけ逃してしまいました。
小説は10数年前と11月に読み大筋は知っていますが映像で見るドラマや映画となるとまた、違った感動を呼び起こします。
山形の庄内地方のある藩の首席家老「桑山又左衛門」は老いを感じ、隠居が頭によぎります。
そして、若かりし頃の剣術道場の仲間五人と将来を語った思い出、その仲間と地位と権力をかけての争いなどが鮮明に蘇り、ドラマは始りました。
仲間五人のうち上級武士の跡取り杉山忠兵衛以外は、みな貧しい下級武士の次男・三男でした。
妻の浮気から不倫相手の上級武士を殺害した宮坂一蔵、藩と上司の命に従い仲間を上意討ちし、その後転落人生を歩む野瀬市之丞、地位や権力にこだわらず、貧しくとも懸命に生きる藤井庄六、そして太蔵が原開拓事業に成功した桑山又左衛門と彼との権力争いに敗れた杉山忠兵衛などそれぞれの人生は現在の社会に当てはめ見入りました。
権力争いに勝利し首席家老となった桑山又左衛門は「奸物になり下がった」と野瀬市之丞から果たし状が届けられます。
桑山又左衛門は藩のため、百姓のため争い地位と権力得たと思っていたが、本当に正義をもって政敵を倒したかというと必ずしもそうではなくそして、出世に取りつかれ、満足することがなかったと反省します。
そして、忠兵衛にそそのかされた市之丞が果し合いを挑んだもの、相手にしないと思っていた又左衛門でしたが、果し合いの前の夜中の夢に出てきた若き日の自分に諭され、病魔に侵されたとは言え剣術では上の市之丞と正々堂々戦う決心をしたのでした。
藤井庄六はいちばんまっとうな生き方をしており、老子も次の言葉で言っています。
足るを知れば辱(はずかし)められず、止(とど)まるを知れば殆(あや)うからず。【老子】