成長見込まれる小型旅客機市場に参入を目指す「三菱MRJ」

イメージ 1

2007年10月から三菱重工が国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」(ミツビシ・リージョナル・ジェット)の営業活動を開始したと伝えられました。

 

既に、超大型旅客機「エアバスA380」と中型旅客機「ボーイング787」のシェア争いが激しくなっていることを伝えました。

yaseta.hateblo.jp

今後、小型旅客機市場でもシェア争いが展開されると言われています。

 

現役の小型旅客機の置き換え需要がはじまるのが2012年で小型機市場は急成長が見込まれるとしてブラジルのエムブラエル、カナダのボンバルディアの2大メーカーが大半を占めている市場に新たに日本が参入しようとしたわけです。ところが、ロシアと中国は日本より一歩先んじて参入を目指しています。

 

ロシアは軍用機メーカ「スホイ」の小型旅客機「スーパージェット100」が来年、航空会社に引き渡される予定です。中国の「中航商用飛機有限公司」の小型旅客機「ARJ21」が2008年初飛行、2009年引き渡し予定で進められています。

 

「スホイ」は販売と顧客管理などの協力を仰ぎ、ロシア企業から61機、外国企業から12機の受注を獲得しており、「中航商用飛機有限公司」は中国国内需要だけで70機以上の注文を受けています。
一方「三菱重工」は2012年引き渡しを目指して営業活動を始めたばかりです。

 

しかし、ボーイング787やエアバス380には日本の部品が多く使用され、技術の蓄えがあります。最新鋭旅客機ボーイング787は従来の中型旅客機と比べて燃料を20%以上削減できると言われ、はるかに長い距離を飛べるようになったと言われます。

 

この燃費節約には日本の企業が世界のシェア7割を占める炭素繊維を大幅に採用し、大きく貢献しています。MRJも炭素繊維を大量に使用し、機体重量を軽く、室内を広く、従来機より燃費を20%~30%節約を図ろうとしています。

 

35年前の国産プロペラ旅客機「YS-11」は販売力が弱く撤退したり、既にライバルが一歩先んじていますが、今後の原油価格上昇を考えるとこの省エネ型小型ジェット機「MRJ」は小型旅客機市場に食い込めるかと思われます。是非とも、旅客機市場でもシェアを獲得し、日本の航空機産業が発展して欲しいです。

 

(追加)
*****  MRJの開発状況(2015.10現在) *****
【参考】日本企業の部品供給先
三菱重工 胴体、扉、主翼   ボーイングエアバス、ボンバルデア
川崎重工 フラップ 胴体、扉、主翼   ボーイング、ボンバルデア
富士重工 主翼、垂直、水平尾翼端、昇降舵  ボーイングエアバス
日本飛行機 主脚扉、水平尾翼端、昇降舵  ボーイングエアバス
IHI   エンジン低圧タービン、ディスク、ブレード
                     ボーイングエアバス
横川電機  コックピット用ディスプレーションモジュール エアバス
横浜ゴム 貯水・浄化槽タンク、化粧室    ボーイングエアバス
ブリジストン タイヤ            エアバス
小糸工業   座席            ボーイングエアバス
コミー    手荷物用棚ミラー      ボーイングエアバス
牧野フライス製作所 マシニングセンター  エアバス

 

【追記】
今年の10月、私が一時、出向したI社の子会社C社のOB会に出席したとき、技術部長から部品供給メーカからの依頼でボーイング社向け部品用プラスチック材料を開発中であり、また、松下電工と共同で便器用プラスチック材料を開発し、これまでの陶器を置き換えた新商品「アラウーノ」の製造に貢献できたと話していました。