私が学生時代と会社に入った頃の1960年代~1970年代は製造業が大きく伸び、製品は国内だけでなく、海外でも売れに売れ、増産々々で、休む暇がないくらいでした。
日本は一日8時間、週48時間(週6日)労働で、私たちは当たり前と思っていましたが、欧米からは日本人は働きすぎだ、欧米市場を荒らしまわるエコノミックアニマルだと非難されました。
さらに、日本は通産省が日本の企業のリーダーとなって海外企業の日本市場参入を阻んでおり、特に、日本工業規格(JIS)は欧米の規格と較べ厳しく、JIS規格は日本市場に参入する際の貿易障壁になっていると非難されました。
こういった外圧を受け、日本政府、企業は対応改善をせまられ、海外企業の労働者は週40時間労働で、休みは家庭サービスや趣味や自己開発に使っている。生活にゆとりがなくてはいけないと言われるようになりました。
そして、気がついてみたら日本は世界でも有数の金持ちになっており、海外からは「ジャパンアズナンバーワン」、「日本的経営の勝利」、「日本の品質管理運動の小集団活動」など賞賛され得意になっていた時期でした。
労働時間は週1回の休みが土曜半日の休みになり、数年後に隔週休みになり、やがて週休2日制になりました。
この頃から日本全体に余裕がでてきて、なりふりかまわず働いてきた、そろそろ人生をエンジョイしなくてはという風潮がでてきたのだと思います。
これらは教育にも波及してきました。1976年(昭和51年)に受験勉強激化や詰め込み教育の反省、落ちこぼれ対策から「ゆとり教育」が必要と文部省が学習内容削減を提案し、1977年小中学校の学習指導要領「ゆとりカリキュラム」が実施され、1978年に高校も実施されました。
しかし、ゆとり教育が受験教育に不利とばかり、一定レベル以上の子供が私立に移動し公立の小中高校がレベル低下し、30年たった現在、いじめの発生や授業に集中できず机を離れ遊びまわる子供もでて学級崩壊を招いている公立校もでている言われています。
そして、学生の理系離れが起こっており、このままでは技術立国日本が立ち行かなくなると企業関係者は危惧しています。
さらに、いじめから来る児童や中学・高校生の自殺が起きており、また、犯罪も多発し、規範意識が低下しているとして早急な対策を迫られています。
野党は安部政権が国会に提出した教育の理想像である教育基本法11条の改正案に意義を唱えていますが、国を代表している有識者が考えた改定事項に問題があるとは思えません。教育基本法改正案をざっと読んでみましたが、どこか問題なのか私にはわかりませんでした。
教育の理想像は人それぞれ、哲学や価値観や人生観が違うので一致することは困難だと思います。ある程度で妥協して、ブレークダウンして具体的対策を有効なものにすれば良いと思うのですが----。
今国会の終わる12月末までに承認いただき、早急に具体的政策を作成して実行して欲しいと思います。