中・印・タイ・韓によるミャンマーの天然ガス争奪戦

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中国は隣国との合意を待たずに国境線地域のエンルギーなどの資源開発を始め、トラブルを起していますが、急速な経済成長のため、それに伴うエネルギーの消費量の増大で既に不足の兆しを見せているエネルギーの入手先を確保する必要があるからです。

【中国三大国有石油企業】
(1)中国石油化工集団(SINOPEC)(2)中国石油天然ガス集団(CNPC)(3)中国海洋石油(CNOOC)
それぞれ、国家戦略のもとに世界各地で油田や天然ガス田開発やエネルギー企業の買収を行っている。

【トラブル】
(1)中国海洋石油(CNOOC)の東シナ海日中中間線付近のガス田開発
(2)中国石油化工集団(SINOPEC)による米フロリダ沖キューバ沿海の油田開発にアメリカで反発が起こり、環境汚染や自国の資源搾取防止のための対抗策を検討している。(2006.10.5 読売新聞)

ところが、中国だけでなく、中国より先に経済成長を遂げ韓国、中国に続いて経済発展を続けるインドが石油や天然ガスを求め、世界のエネルギー市場に参入してきており、世界的なエネルギー資源争奪戦が起きています。

1989年に軍事政権が成立し、国名をビルマからミャンマーと改めましたが、そのミャンマー天然ガス開発を巡り、韓国、中国、インド、タイが熾烈な競争を繰り広げています。
(2006.10.2 読売新聞)

韓国大宇グループとインド石油ガス公社など4社から構成されたコンソーシアム(企業連合)が、ミャンマー西部ベンガル湾沖の「シュエ・ガス田」で2005年にガス層を発見し、開発中ですが4ヵ国それぞれ自国に運搬する提案を行い競争しています。

韓国はLNGにして自国に輸入することを提案したが軍事政権は回答を渋っています。

中国は中国石油化工集団(SINOPEC)を使いチャオピューから雲南四川省まで2380kmのパイプラインを提案しますが軍事政権は中国の影響力を恐れ、これまでの協力関係に待ったをかけました。

インドはバングラディッシュを経由してインド東部のコルカタまでのパイプライン建設を提案し、2005年1月基本合意しました。
しかし、バングラディッシュは一転、領内通過を拒否しました。消息筋によると陰で中国が動いたとも言われてと言っています。インド自国領を通ると建設費が1.5倍になり頭を悩ませている状況です。

そこに割ってはいったのがタイ国営石油会社PTTグループで自国のアンダマン海のガス田からパイプラインを延長し、シュエ・ガス田に結合することを提案しました。

これが最も現実的と言われていますが軍事政権は天秤にかけ自国の利益最大はどれか探っています。

さらに、この事業がもたらす人権・環境破壊の問題点が、国内外市民社会団体から起きています。

ビルマ軍事政権に莫大な金が入り、安定させることになり、ビルマ国民に強制労動・人権侵害・性暴行のような人権問題や、パイプライン建設で生じる環境破壊などを拡大すると非難の声が上がっています。

中国はマラッカ海峡を通らずインド洋から中東への通路を確保したいため、軍事政権の歓心を買おうと港湾、道路、鉄道、水力発電などインフラ整備支援を申し出ているそうです。

アメリカは国連で民主化要求の決議をしようとしていますが中国は軍事政権の肩を持ち反対しています。

各国は自国に天然ガスを取り込もうと躍起になっていますが、ミャンマー天然ガスパイプライン建設は人権問題や環境問題が絡み解決は長引きそうです。