【エネルギーの2010年問題】

イメージ 1

昨年(2005年)の初め頃からLNGが脚光を浴びるようになりました。理由は電力や都市ガス用のエネルギーとして価格と環境の二つで石炭はもちろん石油より優れているからです。

【価格】
2000年以前までは原油LNGの輸入価格はほぼ同額で安定した価格を保っていましたが2000年から2003年にかけ、石油・LNGとも同程度の価格で徐々に値上がりしました。

2004年からLNGは安定した価格を保っている一方、石油の価格は上昇が止まらず、2006年8月に石油価格は過去最高の78.4ドルという値をつけ現在はそれでも60ドルという2000年の石油価格の2倍になっています。

【環境】
地球温暖化の要因のひとつの「二酸化炭素」の排出量は石油の場合、石炭の80%と2割削減ですが、LNGは60%半分近い削減になり、酸性雨をもたらす「硫黄酸化物」の排出量は石油の場合、石炭の70%と3割削減ですが、LNGは半分以下の40%の削減になります。

俄然、有利になったLNGに世界各国が購入始めました。日本は2000年までは世界の半分近くのLNGを購入していましたがヨーロッパが急速に増えており、2004年ごろから韓国、中国が増加して、これまでのようにスムースに購入できなくなりつつあります。

LNGの需要(日本エネルギー経済研究所)の概略を下記すると
国     2005年  2010年 (単位:万トン)
日本    5800   7100
アジア   2000   5500
ヨーロッパ 2000   6500
アメリカ  2000   4000

そして、現実に、先行き日本のLNGの購入困難を示唆する事件が起きています。一つは「サハリン2の開発差し止め事件」
もう一つは10月2日の日本経済新聞の記事に載った「インドネシアLNGの最大の輸入国日本に対し、大幅に削減するという方針を打ち出した」という事件です。

1990年代はインドネシアとオーストラリアのLNGのほとんどが日本向けだったのが、経済成長が続く、韓国、中国が石油だけでなくLNGを購入し始め、しだいに輸入量を増加し、日本だけ優先するわけにはいかなくなったこと、インドネシア自身も経済発展で自国に回す分も増えてきているのが原因だそうです。

世界のエネルギー需要は2005年実績で約1億4000万トン、2010年の予測値約2億3000万トンと1.6倍になることが日本エネルギー経済研究所によって発表されました。

これからはさらに世界的にエネルギー資源の獲得競争が熾烈になり、2010年には世界の需要量が1.6倍になる予想され、早急に対策を打たないと日本は必要なエネルギー資源を入手できなくなります。

一昔前の日本は資源を求め、強引にインドネシア満洲に進出しましたが、今は頭と技術と誠意を持って末永く、お互い利益を享受できるやり方で進出する必要がありますが難しい時代になってきました。