原油価格下落・円安で赤字のエネルギー関連企業と黒字のトヨタ自動車

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資源エネルギー庁はレギュラーガソリンの平均価格(2月2日時点、1Lあたり)が134.3円(前週より1.9円安)と2012年12月下旬以来、28週連続で下落と発表した。

中国、欧州の景気減速に伴う原油需要の落ち込みと米国でシェールガス開発が進み、世界最大の石油消費国である米国が、エネルギーを自給できる見通しになったことで原油に余剰感がでて、原油価格下落が続いているが、OPEC(世界石油輸出国機構)のなかで世界最大の産油国であるサウジアラビアは減産をしない方針を決定し、他のOPEC諸国も同様の決断を行っているため、そこに追い打ちをかけ、原油価格を下落させている。

出光興産は2015年3月期連結決算の営業利益が1200億円の赤字、税引き後利益が980億円の赤字になる見通しと発表した。原油価格の下落で、下落前に購入した在庫の評価額が下がり、販売価格の低下で売上高も減少する見通しとなり、豪州の石炭事業、北海油田開発事業で約267億円の損失を計上した。

JXホールディングス(日本石油・日鉱・三菱石油など経営統合)は2015年3月期の純損益が2100億円の赤字になる見通しと発表した。原油価格の急落で在庫評価損が4300億円に拡大する見込みである。経常利益も予想より300億円減の2200億円になる見通しとなる。石油製品の販売価格は原油市況に連動して下落するものの、コストは1カ月前の原油輸入価格を基準にするため、販売の利ざや(マージン)が縮小することで利益を減少させている。タイムラグによるマージンの悪化は、石油元売り業界にとって「構造的なもの」と言われている。

三菱商事は2015年4-12月期の連結純利益が3153億円(5.7%減)の黒字だったが、2015年3月期までに約700億円の減損損失を織り込むと発表した。非資源分野は増益だったが、カナダのシェールガス事業で230億円、北海油田で120億円の減損損失を計上した。

三井物産2015年3月期の連結純利益を従来予想の3800億円から3200億円(8.6%減)に下方修正すると発表した。原油価格の下落で米イーグルフォード・シェールオイル・ガス事業で390億円、北海の2つの油田権益で90億円を減損計上したほか、鉄鉱石価格の下落も利益を押し下げた。

原油価格下落でエネルギ事業を行っている企業が大幅な赤字をだしている一方、トヨタ自動車は2015年3月期連結決算の営業利益が2兆7000億円(前期比17.8%増)の黒字になる見通しと発表した。北米での売上増に円安が加わり、売上高の予想27兆円は、なんと、ギリシャ国内総生産GDP)に匹敵するそうである。

【参考】
1.「ガソリン134円台28週連続で下落」、読売新聞、2015.2.5
2.「トヨタ営業益2.7兆円」、読売新聞、2015.2.5
3.「出光 原油安で初の赤字(06年上場以来)」、読売新聞、2015.2.4
4.「JX:今期2100億円の純損失予想、発足以来の初の赤字」、読売新聞、2015.2.5
5.「三菱商事三井物産も損失」、読売新聞、2015.2.5