アフリカでの資源獲得競争とJICA(国際協力機構)の技術指導

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5月28日から30日まで横浜市で「第4回アフリカ開発会議」(TICAD4)が開かれていますが、この会議は1993年に日本が提唱して始められたもので5年毎に開催されて今年は4回目に当たります。

 

今回はアフリカ53カ国のうち40カ国が出席、それに主要8カ国含めた86カ国と71国際機関などが加わり、総勢2500人の大会議となっているといいます。

 

日本のアフリカに対するODA拠出額は現在、約9億(1000億ドル)と先進国の中で3位から5位に転落しており、今回の会議では福田首相はODA拠出額が12年時点で18億ドル(2000億円)まで段階的に増額して行く方針を発表しましました。
(1980年後半から最近まで日本のODA拠出額は上位を占め、世界1位だった時期がありました。)(4)

 

アフリカには豊富な天然資源があり、原油埋蔵量は全世界の1割、レアメタルの埋蔵量も多く、プラチナ全世界の9割、コバルト5割、クロム3割を占めると言われています。

 

 

最近、世界的に天然資源が高騰し、世界がアフリカを注目しています。アメリカ、イギリス、フランスは植民地だったこともあり、有利に進出を図っています。

 

また、中国は2年前から胡錦濤国家主席はじめ政府首脳がアフリカ諸国を訪問し、アフリカに進出を図っており、アフリカへのODA拠出額は日本のODA拠出額水準に近づいているといいます。

 

日本もようやく昨年に外相や甘利経済産業相がアフリカを訪問し、資源外交を本格化しています。ODAと民間投資を増額する方針にしたのもこのような背景があるからだと言われています。

 

私の弟は外務省傘下の特殊法人国際協力事業団(JICA)の水産関係プロジェクトの管理の仕事で18年間、インドネシア、タイなどに行っていましたが、60歳になり、今度はJICAの青年海外協力隊員などのボランティア調整員として、この8月からJICAの西アフリカの拠点事務所があるセネガルへ行くことになったと言っていました。

 

(JICAは2003年に独立行政法人国際協力機構(JICA)に変更になりました。下記「JICAの略史」参照)

 

天然資源を確保するため、鉱山開発や工場建設やインフラ整備に政府開発援助(ODA)資金を使うのも良いですが、ODAの一環である水産、農業、電気、機械、環境分野などの開発支援を行っているJICAの「海外技術事業団」や「青年海外協力隊」など草の根的な支援活動も忘れてはならないと思います。

 

政府は乾燥に強い「ネリカ米」(注1)の稲作普及支援などで農業生産を10年で倍増させると言っています。また、水産の分野では食糧確保の観点から淡水養殖についての可能性の調査がアフリカ各国で行われています。

 

これからは農業、水産支援、それにエイズ感染症対策、それに教育などの分野での支援が増えると思われます。
JICAの仕事が増加しておりますが、海外で技術指導できる若い人が不足してきているそうです。

 

【参考】
(注1) ネリカ米(Nerica:New Rice for Africa)
1994年、西アフリカ稲開発協会(WARDA)においてシエラレオネの研究者、モンティ・ジョーンズ博士がネリカ米を開発し、1997年以降、日本・UNDP等支援によりネリカ米の改良が進み、普及の段階にある。
国連開発計画(UNDP:United Nation Development Program)
西アフリカ稲開発協会(WARDA:West Afreica Rice Development Associatuon、加盟17カ国、本部コートジボアール

 

(1)JICAの略史
1954年 コロンボ・プラン加盟、日本の技術協力事業の開始
1962年 外務省傘下の特殊法人に海外技術協力事業団(OTCA)設立
1963年 海外移住事業団(JEMIS)設立
1965年 海外技術協力事業団(OTCA)に新組織「日本青年海外協力隊(JOCV)」発足
1974年 海外技術事業団と海外移住事業団が統合、国際協力事業団(JICA)設立
1990年 シニア協力専門家(シニア海外ボランティア)派遣事業開始
2003年 独立行政法人国際協力機構発足
(2)「基礎からわかるアフリカ開発会議」、読売新聞、2008年5月29日
(3)「JICA 独立法人国際協力機構ホームページ」、www.jica.go.jp/
(4)「国際協力機構」、 フリー百科事典「ウィキペディアWikipedia)」
(5)「UNDP ホームページ」、www.undp.or.jp/publications/