北極の野生動物に深刻な影響を与えつつある温暖化と資源開発競争

イメージ 1

北極は北極海を氷で覆った大陸です。そして、その氷の大陸を取り巻くように北アメリカ大陸最北部、クイーンエリザベス諸島、世界最大の島グリーンランドスカンジナビア半島北部、ユーラシア大陸にあるシベリア北部が北極圏を形成しています。

 

 

北極圏は自国の領海がどこまでなのか明確になってなく、北極圏は国際慣例に従い公海になっております。従って、どこの国も自由に航行を許されていますが現段階では氷で覆われ、北極海定期航路の開設は不可能です。

 

1970年代に155カ国が出席した国連で北極圏を軍事的に利用しないという取り決めを行いましたが、当時、北極圏は国連加盟の国々からそれほど関心を持たれずそれ以上の議論がなされませんでした。

 

最近、地球温暖化により地球規模で環境破壊が起きております。北極圏では氷が溶け、生態系に重大な悪影響を及ぼすと危機感つのらせております。

 

一方、北極圏の氷が溶け、このままでいくと2040年頃には海域や海底に埋蔵されている地下資源が採掘可能になり、北極海は船舶の航行が可能になるということが報告されると北極圏の国々は北極海の地下資源を求め、にわかに領海を主張し始めました

 

温暖化で近い将来北極航路開設可能性大
 yaseta.hateblo.jp
ロシアは昨年の夏、北極点の水深4000メートルの海底にチタン製の国旗を設置し、ロシアの大陸棚は北極点まで達していると主張し、北極圏周辺国から抗議の声が上がっています。

 

そして、北極圏周辺国も負けじと自国領海を主張し、海域の監視と資源調査に乗り出し、先陣争いが始まっていると報道していました。

 

先日、テレビのドキュメンタリーで温暖化により北極の野生動物が深刻な影響を受けている様子を映しだしていました。北極を代表するホッキョクグマに加え、セイウチ、クジラ、アザラシなど多くの生き物が絶滅の危機に直面しているそうです。

 

氷が溶け、植物プランクトンが姿を消し、減少しており、それを食べるオキアミに影響がでてきています。オキアミはクジラや魚やアザラシのえさになっており、魚やアザラシはホッキョクグマの餌になっていますがそれぞれの餌が減少しています。

 

テレビではホッキョクグマの生態を研究している観察小屋から、氷が溶け、氷の大地が寸断されてえさ場まで到達できずやせ細ったホッキョクグマの姿を映しだしていました。

 

世界自然保護基金(WWF)によると食物連鎖が壊れつつあり、餌の確保や繁殖活動が困難になっているため、早急な対策が必要であると話していました。【参考】(4)

 

【追加】
排他的経済水域国連海洋法条約により沿岸国の海岸線から200カイリ(約370Km)を言う。水産、鉱物資源の探査・開発ができる。ただし、対価として資源管理と海洋汚染防止の義務を負う。

 

国連海洋法条約は沿岸国との一定の地質上のつながりが証明されれば大陸棚を「沿岸から350カイリ」まで拡大できるとしている。そうなれば、その範囲で天然資源を独り占めできる。【参考】(4)

 

【参考】
(1)日本経済新聞「今世紀半ば、北極熊3分の1に」記事、2007.9.8
(2)「世界大戦が始まった」、日高義樹、ダイヤノンド社、2007.12.13
(3)「氷の下の熱い資源争奪レース」、Newsweek日本版、2008.3.26
(4)「北極の海底はだれのものか」、Newsweek日本版、2008.4.16