日本は世界有数の希少金属(レアメタル)資源国だが精製技術はこれから

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今年、8月定年を迎えるI社の元同僚のOさんに電話をかけ、近況を聞きました。Xデイまで秒読みが始まり、仕事にも余裕ができていると思っていましたが仕事が忙しく余裕がないと返ってきました。

 

Oさんはプラスチック電子材料の透明電極の販売を担当しており、液晶テレビ部品用に販売は好調で価格と納期の交渉のため国内を駆け巡っているとのことでした。

 

液晶テレビの透明電極にインジウムという金属が使われているそうです。

 

そういえば、最近、石油や金属などの資源の需要が急増し、価格が高騰して確保するのが困難になっていると伝えられています。

 

インジウムタングステンマンガン、コバルトなど、および希土類金属(レアアースメタル)は希少金属レアメタル)と言われ、世界的に埋蔵量が少ない上、生産国が偏っているため供給が不安定です。

 

2006年の実績では希少金属はすべて4倍から5倍に値上がりし、さらに上昇しています。

 

希少金属  生産国              価格上昇率(2006年)
インジウム 中国(63%)、日本(12%)  約5.5倍
マンガン 南アメリカ(20%)、ブラジル(15%)  約4倍
タングステン 中国(85%)、ロシア(6%)  約4倍
コバルト:コンゴ(38%)、ザンビア(15%)  約5.5倍
希土類金属
ネオジム:中国(98%)、日本(2%)  約6倍
ジスプロシウム:中国(98%)、日本(2%)  約5倍

 

希土類金属を含め希少金属の用途についていくつかあげてみます。

 

インジウム(In):液晶ディスプレイの透明電極膜、半導体材料、熱線反射性の蒸着ガラスなど
テレル(Te):DVD-RAM(Ge-Sb-Te)など
ロジウム(Rh):自動車排ガスのNOx除去触媒、水素化触媒など
パラジウム(Pd):自動車排ガスのNOx除去触媒、水素化触媒、900倍の水素を吸蔵
タングステン(W):白熱電球のフィラメント、すべての金属で最も沸点が高い、ドリルなどの高速度鋼(W-Fe合金)、X線を遮蔽するエプロン
コバルト(Co)ハードディスクの磁気ヘッド、塗料(コバルトブルー)、永久磁石のKS鋼

 

希土類金属(レアアースメタル)
ネオジム(Nd):世界で最も強い永久磁石はネオジムを含む合金(携帯電話の振動モーターやハードディスク)
ジスプロシウム(Dy):蓄光性の発行塗料、磁気で伸び縮みする合金(ハイブリッドカーのモータ)、光磁気ディスク

 

原子番号1の水素から希土類元素(57~71)、72~88の元素、92のウラン、94のプルトニウムの計90(周期律表には113元素ある)の元素はすべて使用され、世の中で役立っています。

 

希少金属は家電製品に含まれ日本は世界でも有数の資源国といわれております。このため、希少金属確保の一つとして使用済み家電製品から微量の希少金属を回収する研究が始まり、実用化を急いでいるそうです。

 

1869年、ロシアの化学者「メンデレーエフ」は当時、知られていた63種類の元素を原子量順に並べ、元素同士の結合してできた物質の組成などの性質は周期的に変化する法則(周期律)を発見しました。(たとえば、ナトリウムはNaCl、マグネシウムはMgCl2を作るなど)

 

そして、性質が似た元素が同じ列に来るように配列した周期律表をつくりました。そして、当時知られていなかった元素の性質を予言しました。

 

当時、メンデレーエフの周期律表は注目されませんでしたが1875年にガリウム、1886年にゲルマニウムが発見され、それらの性質が彼の予言通りだったため、世界的にその名は広がり、周期律表は信頼されるようになりました。

 

現在では周期律表は化学や物理学の学問の基本となるバイブルのような存在になっています。

 

メンデレーエフ時代63個だった元素は現在、113個に増え、しかも113個目が2004年7月23日に日本の理化学研究所で発見されました。

 

また、液晶テレビや携帯電話やパソコンなどがだれでも持てるようになり、その材料に原子量が57から71の希土類金属を含むその他多くの希少金属が使われるようになり、それら金属を求め、国際競争を繰り広げています。

 

さすがのメンデレーエフも当時の2倍の元素を発見し、いろいろな製品に使われるようになるとは思いもしなかったに違いありません。
 
【参考】
(1)「希少金属 調達先を探せ」読売新聞、2008年2月3日
(2)「元素周期律表」文部省、財団法人科学技術広報財団、2005年5月30日
(3)「化学大辞典」化学大辞典編集委員会共立出版株式会社、1967年1月20日