ユダの福音書の写本解読と映画「栄光への脱出」

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新約聖書に載っている4つのイエスの言行録である福音書マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネのいずれにもユダがイエスを裏切ったため、十字架に掛けられ殺されたと書かれています。

これが、延々と伝えられ、ユダ一人の行いのため、民族全体がキリスト教徒の一部に近年まで迫害されるという、キリスト教徒でない私にとっては理解の範囲を超えることが起ってしまいました。

4月7日の読売新聞の一面に米国のナショナルジオグラフィック協会が1970年代にエジプトで発見された1700年前の幻の「ユダの福音書」の写本を解読したところ、「イエスはユダに自ら官憲に引き渡すように指示した」ということが書かれていたと4月6日に発表しました。

もし、これが本当なら、ユダはイエスを裏切ってないことになり、この2000年もの長い間、濡れ衣をきせられ、迫害されたユダはじめユダヤ民族はどうしくれるという言い出すかもしれません。またキリスト教側にとっても大問題になるかもしれません。

高校時代(昭和36年頃)に見た映画「栄光への脱出」を思い出しました。
ローマ帝国に滅ぼされたパレスチナユダヤ人の国を再び造るのだとポールニューマンをリーダーとして、2000人のユダヤ人が貨物船「エクソダス(脱出)」号(モーゼの出エジプト記「EXODUS」にちなんで命名)に乗ってパレスチナに渡り、イスラエルを建国するという実話をもとにした映画でした。
これを見てものすごく感動した覚えがあり、サウンドトラックも流行したものでした。

実際、ユダヤ人は迫害され、罪のない多くの人が犠牲になり、世界の同情を浴び、中東諸国の反対にもかかわらず、欧米主導の国連は1947年にイスラエル建国を認めました。

この映画は一方的に欧米側、ユダヤ人側の立場で作られており、背景を知らなかった私のような人はえらく感動したことを覚えています。しかし、反対に、パレスチナの居住地を追われたイスラム教徒やかつて欧米諸国から搾取された中東諸国は戦争をしてでも取り返そうとしていたのです。その翌年から戦争が始まり、それからというものは数年置きに戦争を起こし、60年たつ現在も戦争状態になっているわけです。

エレサレムは三つの宗教の聖地になっています。
1.キリスト教のイエスが十字架にかけられたゴルゴダの丘に立てられた「聖墳墓教会
2.2000年前にローマ帝国に滅ぼされたユダヤ教の神殿の一部「嘆きの壁
3.イスラム教の創始者ムハンマドマホメットと習いましたが)が昇天した「岩のドーム

今になって、中東諸国の立場に立って見たり、三つの宗教にとって重要なエレサレムの状況などは知ることはできましたが、それでも、宗教については無知であり、一部しか理解できず、中東問題は複雑難解であるということがわかりました。

【参考】ユダの福音書の写本解読についての詳細は4月28日発売の「ナショナルグラフィック日本版」に載るそうです。