2021年11月24日に南アフリカで発生した新しい変異株「オミクロン」は感染力が強く12月14日世界保健機関(WHO)は既に世界の77ヵ国以上に感染が広がったと報じました。
京都大学西浦教授はデンマークでの実績を分析してオミクロン株の実効再生産数(感染者1人がうつす人数)はデルタ株の3.97倍と非常に強い感染力を持ち、人にうつしてから発症するまでデルタ株は4.6日(2.9日~6.3日)に対しオミクロン株は3.1日(2.8日~3.4日)と推測しました。そして、デンマークでは12月13日には感染者全体の半数がオミクロン株に替わったと推測しました。(2月17日テレビ朝日の羽鳥モーニングショー)
12月15日BBCニュースによるとオミクロン株はイギリス全土に広がり、国民の70%がワクチンを2回接種したにもかかわらず、1日感染者数は7万8610人と過去最多を更新しました。ロンドンでは、オミクロン株による感染が60%を超えたといいます。
また、12月17日BBCニュースは下記のように伝えました。
南アフリカでは入院者が急激に増加したが感染者数に対して酸素吸入や人工呼吸器を必要としている患者は少なく、入院期間も短い。
ワクチン接種や自然免疫が増えていることがこれまでと違う点だ。
南アの主要医療機関「ディスカバリー・ヘルス」は、同国での感染の第1波と比べると、オミクロン株に感染した成人が入院する確率は約3割低いと試算している。
しかし南アフリカの研究者たちは、このことからすなわちオミクロン株の毒性がほかの変異株より弱いということにはならないと指摘しています。
ワクチンを2回接種していても、すでに感染したことがあっても、それがオミクロン株の感染を防ぐ効果は低くなっている。それでも重症化は防いでいるようだ。
ヨハネスブルグの病院のヴィッキー・ベイリー医師は入院患者が少ないのは、新型ウイルスに対して、前より強い免疫を持つ人が増えたからかもしれないと話した。
ワクチン接種や自然免疫が増えているなどこれまでの環境・条件が違っているため、重症化が少ないからと言って「オミクロン株」はこれまでの新型コロナウイルス変異株より毒性が弱いと断言はできないということらしいです。
デルタ株(日本では第5波にあたる)によるコロナ感染は欧米、韓国が増加状態を続けている中、日本は減少状態が続いてきましたが、直近の7日平均1日感染者が11月28日の96人(東京14人)を底に徐々に増加に転じていることも心配です。
1日感染者数(7日間移動平均)単位(人)
日付 国内 東京
11/21 142 18
11/25 109 15
11/28 96 14
11/30 98 12
12/5 115 10
12/11 124 18
12/16 141 21
12月8日にナイジェリアからの外交官がオミクロン株の陽性者として隔離されてから12月16日には32人、が感染しました。
12月8日アメリカ帰りの20代女性が陰性で20代男性に面会、その後女性がオミクロン株に感染、男性は12日川崎の等々力サ競技場で天皇杯サッカー準決勝を観戦に行き、その後発熱・せきの症状がでて15日にオミクロンに感染が判明しました。濃厚接触者が170人以上になるなど、海外からのオミクロン株流入を防ぐ水際対策からのすり抜けが起こっております。
12月17日までの国内のオミクロン株感染者は47人の海外渡航歴のある人(そのうち入国後に宿泊施設や自宅で陽性になった人が12人)とその他都内での3人(追跡可能)の計50人になりました。
この2つの状況からさらに感染が増加すると予想されます。
日本の年齢別ワクチン接種率は上記に示すとおり、12歳から19歳も2回完了者が73%になりましたが重症化を防ぐためにももっと進める必要があります。
12月2日から8カ月以上経過した医療従事者に3回目のワクチン接種を開始していますが、政府は12月17日にオミクロン株感染対策として、医療従事者、高齢者施設の利用者・職員、入院患者など8カ月以上から6カ月以上に短縮する方針を出しました。
12月15日読売新聞はアメリカ・メルク社が開発した新型コロナの感染治療薬の飲み薬「モルヌピラビル」は軽症から中等症の対象者が発症から5日以内に服用すると重症化を防ぎ、入院・死亡リスクを約30%下げる効果があり、厚労省により12月24日に特別承認される見通しで年末には供給されると報じました。
日本ではオミクロン株による感染拡大が予想されますが3回目ワクチン接種と飲み薬などの治療薬も続々開発されており、これまでのように大事に至らないと思いますがマスク着用や手洗いを続けたいと思います。